中年期からの体重増加、体重減少のいずれも認知症発症リスクと関連したが、体重減少の方がより強く関連!(高知大学医学部 他)

 高知大学医学部 田代 末和 氏らの研究グループの報告。2023年12月19日多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)のホームページにて公表。研究成果は2023年11月23日公表の「Alzheimer’s Dement」に掲載。

 ベースラインは平成2年(1990年)または平成5年(1993年)。40歳から59歳の日本人居住者37,414人(平均年齢男性48.8歳、女性49.2歳)が対象。体格指数(BMI:Body Mass Index)は14.0~18.9を「やせ」、19.0~22.9を「やせ気味」、23.0~24.9を「標準」、25.0~26.9を「過体重」、27.0~39.9を「肥満」の5群に分類。体重の変化は、10年間の体重の変化率(%)[(10年後の体重(kg)-研究開始時の体重(kg))/研究開始時の体重(kg)×100]を男女別に4分位してから、第1分位(男性-3.44%以下、女性 -3.70%以下)を「減少」、第2分位と第3分位(男性-3.44%~4.00%、女性-3.70%~4.26%)を「変化なし」、第4分位(男性4.00%以上、女性4.26%以上)を「増加」の3群に分類。
 中年期から高齢期初期へかけての体重変化と介護保険要介護認定情報から把握した要介護認知症との関連を分析。

 以下結果の一部抜粋

 平成18年(2006年)から平成28年(2016年)までに3,019人(男性1,331人、女性1,688人)が認知症と診断されていることを確認。

 研究究開始から10年間の体重の変化と認知症リスクとの関連について調べた結果では、「変化なし」群と比較して、男女とも「増加」群、「減少」群どちらにおいても認知症リスクが高くなっていたが、「減少」群のリスクは「増加」群のリスクを上回っていた。(上図参照)

 報告は、「男女ともに、中年期の肥満は認知症発症リスクを増加させ、中年期以降の体重減少は認知症発症リスクを高めた。人生をとおして適正な体重を維持することは認知症予防に有益である」とまとめている。


「体格および体重変化と認知症との関連」(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/9299.html
「Body mass index, weight change in midlife, and dementia incidence: the Japan Public Health Center‐based Prospective Study」(Alzheimer’s Dement)
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10668007/