筑波大学人間総合科学研究科 大西 安季 氏らの報告。研究成果は2023年10月30日「Womens Health」に掲載。
無作為に抽出した横断的なインターネット調査。20~64歳の日本女性3,030人が対象。欠落データを除き、最終的に2,503人(平均年齢43.4歳)が解析対象。尿失禁に関しては、国際尿失禁会議質問票(ICIQ-SF:International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form)日本語版を用いて頻度やQOLへの影響を尋ね、自己診断質問項目による病型(腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、その他)判定も実施。
尿失禁の有病率は全体の25.5%。
年齢別に見ると、20歳代が64人(10.0%)、30歳代が102人(16.0%)、40歳代が169人(26.4%)、50歳代が206人(32.2%)、60歳以上が98人(15.3%)。(上図参照)
病型別では、腹圧性が57.4%、切迫性が20.3%、混合性が16.7%、その他が5.5%。
尿失禁のある人のうち、骨盤底筋トレーニングや医療ケアの利用経験がある人は5%未満。
背景因子では(尿失禁群vs.尿失禁なし群)、BMI、学歴が高校卒業以下、非就業、経腟分娩歴あり、婦人科疾患あり、腰痛ありが尿失禁群で有意に高値。
報告は、「日本人女性の約25%が尿失禁を有していることが判明。また、ほとんどの人が骨盤底筋トレーニングや医学的治療を受けていないこと、40歳以上、過体重/肥満、経腟分娩、腰痛などが尿失禁と相関することも明らかになった。今回の知見に基づき、成人初期から尿失禁への認識を広め、高リスク集団に対する予防戦略を構築することが求められる」とまとめている。
「Prevalence and sociodemographic correlates of urinary incontinence in Japanese women: A web-based cross-sectional study」(Womens Health)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10617297/