流通経済大学スポーツ健康科学部 諏訪部 和也 氏らの研究グループによる報告。2023年10月6日流通経済大学のホームページで公表。研究成果は2023年9月20日「Neurobiology of Aging」に掲載。
認知症でない健常な高齢者21名(66〜81歳、男性10名、女性11名)が対象。
対象者に10分間の自転車エルゴメータでのペダリング運動を行った後に記憶テストを行う運動条件と座位安静を保った後に記憶テストを行う安静条件の2条件で実施。対象者は、テストをランダムな順序で別日の同じ時間帯に実施。
運動強度は低強度とし、運動時心拍数の平均値は93.3拍/分。運動中は目の前のスクリーンを注視させ、アイトラッキングシステムにより瞳孔径を計測。記憶テストでは、よく似た2つの物体の写真を順に提示し、その違いに気づくことができるかを調べることで、細部まで鮮明に記憶する能力を評価。
結果
運動後の記憶テストの成績は安静条件に比べて優れており、その差は特に類似度の高い課題(難しい課題)において顕著。(上図参照)
また、運動時は安静時に比べて瞳孔径が拡大し、瞳孔拡大の程度が大きいほど記憶力への効果も大きく、瞳孔拡大が運動効果の媒介因子であることが明らかになった。
報告は、「今回は軽い運動を1回行うだけで高齢者の記憶力の向上を確認。今後、低強度運動の長期的な効果を検討するとともに、記憶力向上に効果的な、運動習慣がなくても親しみやすい軽運動プログラムの開発が期待される」とまとめている。
「スポーツ健康科学部 諏訪部准教授らの新研究結果が米科学誌に掲載!」(流通経済大学)
https://www.rku.ac.jp/news/39743/
「Improvement of mnemonic discrimination with acute light exercise is mediated by pupil-linked arousal in healthy older adults」(Neurobiology of Aging)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0197458023002269