脳萎縮や認知症発症を予防する上で、他者との交流頻度を増やし、社会的孤⽴を防ぐことが重要!(九州大学 他)

 九州⼤学⼤学院医学研究院 ⼆宮 利治 氏、弘前⼤学、岩⼿医科⼤学、⾦沢⼤学、慶應義塾⼤学、松江医療センター、愛媛⼤学、熊本⼤学、東北⼤学の共同研究グループの報告。
 2023年7月21日九州大学他のホームページで公表。研究成果は2023年7月12日「Neurology」に掲載。

 健康⻑寿社会の実現を⽬指した⼤規模認知症コホート研究(JPSC-AD:Japan Prospective Studies Collaboration for Aging and Dementia)に参加した65歳以上の認知症を有しない8,896名が対象。脳MRI検査や健診データを⽤いて、交流頻度と脳容積との関連を解析。交流頻度は、「同居していない親族や友⼈などとどの程度交流(⾏き来や電話など)がありますか?」という質問によって毎⽇、週数回、⽉数回、ほとんどなしに分類。

結果

 交流頻度の低下に伴い脳全体の容積や認知機能に関連する脳容積(側頭葉、後頭葉、帯状回、海⾺、扁桃体)が有意に低下し、⽩質病変容積が有意に上昇。(上図参照)

 さらに、それらの関連に抑うつ症状が15〜29%関与。

 報告は、「本研究は横断研究であるため、因果関係を論じることには限界があるが、脳萎縮や認知症発症を予防する上で、他者との交流頻度を増やし、社会的孤⽴を防ぐことが重要であることが⽰唆される」とまとめている。


「全国8地域からなる⼤規模認知症コホート研究で社会的孤⽴と脳萎縮および⽩質病変との関連を報告」(九州大学)
 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/949/
「Association between frequency of social contact and brain atrophy in community-dwelling older people without dementia: the JPSC-AD Study」
 https://n.neurology.org/content/early/2023/07/12/WNL.0000000000207602