7項目(性別、年齢、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、喫煙、飲酒)による5年以内のメタボリックシンドローム発症の簡易リスク予測スコアを開発(鹿児島大学大学院)

 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科 Salim Anwar 氏らの報告。研究成果は2023年4月7日「PLOS ONE」に掲載。

 鹿児島厚生連病院で2008年10月~2019年3月に健康診断を受診した人で、ベースラインデータとその5年後の追跡データを持つ30~69歳の合計54,198人(年齢、54.5±10.1歳、男性、46.0%)が対象。全体を無作為に2対1の割合で二分し、3万6,125人のデータをメタボリックシンドローム発症予測モデルの開発に、1万8,073人のデータはそのモデルの精度検証に割り当てて検証。

結果

3つのメタボリックシンドローム発症予測モデルを開発

・ メタボリックシンドロームのリスク予測スコア・・・健診項目の中から、多変量解析にてメタボリックシンドローム発症リスクに有意な関連の認められた性別、年齢、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、飲酒、喫煙、中性脂肪、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール、空腹時血糖値11項目を抽出。各評価項目をスコア化。合計27点のリスクスコアを開発。
 向こう5年間でのメタボリックシンドローム発症予測能は、スコア13点をカットオフ値とした場合、感度87%、特異度74%、スコア14点では感度、特異度ともに81%であり、ROC曲線下面積(AUC)は0.81だった。検証コホートでは、スコア13点で感度89%、特異度74%、スコア14では感度、特異度ともに81%であり、AUCは同じく0.81。

・ 簡易メタボリックシンドロームのリスク予測スコア・・・臨床現場でより簡便に使用できるように、採血を要さない項目のみに絞り込んだ簡易版を検討。性別、年齢、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、飲酒、喫煙の 7項目による合計17点のリスクスコアを開発。
 向こう5年間でのメタボリックシンドローム予測能は、スコア15点をカットオフ値とした場合、感度83%、特異度77%、AUC0.78、検証コホートでは、スコア15点で感度82%、特異度77%、AUCは同じく0.78。

・ メタボリックシンドローム発生率を予測する方程式・・・各評価項目の検査値に係数を掛けて加算するという方程式モデルを開発。
 AUCは開発コホート、検証コホートともに0.85。

(以下「簡易リスク予測スコア」の一部抜粋)

 男性3点、年齢は40~69歳2点、BMIは21~22.9が4点、23以上は5点、収縮期血圧は120mmHg以上で2点、拡張期血圧は80mmHg以上で2点、喫煙2点、習慣的飲酒1点の合計17点のリスクスコア。スコアが15点未満の場合は5年間のメタボリックシンドロームの発症は低リスクで、15点以上の場合は高リスクであることを示唆。(上表参照)

 報告は、「3種類のメタボリックシンドローム予測モデルを開発したが、特に簡易リスクスコアは、血液検査を必要とせず、利便性に優れ、高リスクの個人におけるメタボリックシンドロームの早期検出に使用できる」とまとめている。


「Development of predictive equation and score for 5-year metabolic syndrome incidence in Japanese adults」(PLOS ONE)
 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0284139