もっぱらタクシーや他者運転の車で移動する高齢者の手段的⽇常⽣活動作(IADL)*の低下リスクは約2倍!(医療経済研究機構)

 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構 田村 元樹 氏らの報告。2023年4月11日医療経済研究機構のホームページにて公表。研究成果は2023年1⽉26日「BMC Public Health」に掲載。

 豊明市在住の要介護認定を受けていない65歳以上全員を対象に実施されている「住民健康実態調査(介護予防・日常生活圏域ニーズ調査)」の2016年と2019年の調査結果を分析。要介護認定情報と被保険者情報を結合し、「要介護認定情報・被保険者情報」を作成。移動手段の選択による⽐較を⾏うため、徒歩・⾞(⾃ら運転)・電⾞・路線バス・⾃転⾞・バイクなどにより自分で動作や操作をする「能動的移動手段」群と、もっぱら乗用車(他人が運転する)とタクシーで移動を完了させる「受動的移動手段」群に分類。IADLの評価指標は⽼研式活動能⼒指標を採⽤。5点を「⾃⽴」状態、5点から5点未満への変化をIADL低下と評価して比較検討。

 最終的に条件の整った8,245人 (平均年齢73.2±5.7歳、男性3,823人、女性4,422人)が分析対象。「能動的移動手段」を持っている人は 6,280人(76.2%) で、「受動的移動手段」を持っている人は 1,865人 (22.6%) 。3年間でIADLが低下した⼈は999⼈(12.1%)。「受動的移動⼿段」は「能動的移動⼿段」よりもIADL低下リスクが⾼く、リスク⽐は1.93(95%信頼区間1.62-2.30)と有意に⾼かった。(上図参照)

 報告は、「⾼齢者が⽇常⽣活で移動する際には、徒歩や⾃らの操作等を含む「能動的移動⼿段」を維持するための施策が、介護予防に有効かもしれない。また、⾃治体などの移動⽀援施策において、⾼齢者が能動的な交通⼿段を利⽤する機会や環境を地域社会に増やすことは、⾼齢者の社会的⾃⽴⽣活を促すのに有効である可能性がある」とまとめている。

* 手段的⽇常⽣活動作(IADL:Instrumental Activities of Daily Living)
 日常生活における応用的な動作ができるだけでなく、動作に伴う正しい判断・意思決定ができるかどうかの指標。買い物、掃除、洗濯、金銭管理など。


「受動的移動手段を用いると3年後の手段的日常生活動作低下リスクが1.93倍に ~介護予防・日常生活圏域ニーズ調査、介護認定情報、および被保険者情報を組合せた観察研究~」(医療経済研究機構)
 https://www.ihep.jp/受動的移動手段を用いると3年後の手段的日常生活/
「Association between choices of transportation means and instrumental activities of daily living: observational cohort study of community-dwelling older adults」(BMC Public Health)
 https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-022-14671-y