多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)の報告。2023年4月14日 多目的コホート研究(JPHC Study)ホームページにて公表。研究成果は2022年9⽉「Preventive Medicine」に掲載。
平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2006年現在)管内に在住だった、40~59歳のたばこを吸わない女性24,232人を対象に、平成24年(2012年)まで追跡した調査結果にもとづいて、受動喫煙と循環器疾患発症との関連を調べた結果。
アンケート回答結果から、対象者を「夫が非喫煙者」、「夫が過去喫煙者」、「夫が現在喫煙者」の3つのグループに分け、「夫が非喫煙者」、もしくは「夫が過去喫煙者」のグループを基準とした場合の、それ以外のグループの循環器疾患(虚血性心疾患または脳卒中)発症のリスクを比較。
平均約18年の追跡期間中に、合計103人が虚血性心疾患と診断された。夫の喫煙状況別に虚血性心疾患の発症率を比較してみると、追跡期間が10年以上の場合、現在受動喫煙のないグループの女性(夫が非喫煙者、もしくは夫が過去喫煙者)と比べて、現在受動喫煙のあるグループの女性(夫が現在喫煙者)は、全循環器疾患の発症リスクは約1.25倍(ハザード比1.25、95%信頼区間1.05–1.49)、虚血性心疾患は約2倍(ハザード比2.02、95%信頼区間1.19-3.45)高い傾向を示した。(上図参照)
報告は、「夫からの受動喫煙がある非喫煙女性では、全循環器疾患、特に虚血性心疾患の発症リスクが上がることがわかった」とまとめている。
「非喫煙女性における受動喫煙と循環器疾患発症のリスクについて」(多目的コホート研究)
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/9146.html
「Secondhand smoke and the risk of incident cardiovascular disease among never-smoking women」(Preventive Medicin)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0091743522001943