大阪公立大学大学院医学研究科 西村 美沙子 氏、浅井 一久 氏、大阪国際がんセンターがん対策センター 田淵 貴大 氏らの研究グループの報告。2023年2月3日ホームページにて公表。研究成果は2023年2月2日「Scientific Reports」に掲載。
インターネット調査会社(楽天インサイト)に登録中の日本の一般住民から日本の人口分布に沿ってランダムに選定された参加者を対象に、2022年2月にオンラインで行われた生活状況調査(JASTIS 2022 研究)のデータのうち、加熱式たばこを含むたばこ使用状況と2020年・2021年のSARS-CoV-2感染および感染時の悪化(入院、酸素投与)の有無などを抽出して比較検討。
結果
対象者 30,130名(16~81歳)のうち、喫煙者は24.3%。喫煙者のうち21.2%が加熱式たばこを単独、30.1%が燃焼式たばことの併用で使用。SARS-CoV-2 に一度感染したことがある人は1,117人(男性714人、女性403人)。
たばこ非使用者に比べ加熱式たばこの使用者(単独・燃焼式たばこの併用含む)の感染率が高く、加熱式のみで1.65倍(オッズ比 1.65、95%信頼区間 1.26-2.15)、加熱式たばこと燃焼式たばこの併用は4.66倍(オッズ比 4.66、95%信頼区間 3.89-5.58)。(上図参照)
ARS-CoV-2感染者で2年とも感染した20名を除く1,097名における解析で、新型コロナウイルス感染時に入院や酸素吸入などが必要となる病態悪化の割合は、加熱式たばこと燃焼式たばこの併用は、たばこ使用歴なし群と比較すると、入院は3.17倍(オッズ比 4.66、95%信頼区間 2.11-4.77)、酸素吸入は4.15倍(オッズ比 4.66、95%信頼区間 2.70-6.36)。
報告は、「加熱式たばこの使用が実際どういったメカニズムでCOVID-19 罹患・悪化に関与するのかについては今後さらなる研究が必要だが、本研究の結果がCOVID-19流行下におけるたばこ使用行動を考えるきっかけの一つ、また、新型たばこの影響に関する研究の一助となると考えている」とまとめている。
「加熱式たばこユーザーに警鐘 加熱式たばこの使用が新型コロナウイルス感染&病態悪化のハイリスク要因に」(大阪公立大学)
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-04191.html
「Association of combustible cigarettes and heated tobacco products use with SARS-CoV-2 infection and severe COVID-19 in Japan: a JASTIS 2022 cross-sectional study」(Scientific Reports)
https://www.nature.com/articles/s41598-023-28006-3