米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏ら世界疾病負荷研究（GBD：Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study）2019 Cancer Risk Factors Collaboratorsの報告。2022年8月20日「Lancet」に掲載。
GBD2019比較リスク評価フレームワークを使用して、行動、環境、職業、および代謝の危険因子に起因するがんを推定。23種のがんと世界がん研究基金の基準を用いて特定した34のリスク因子から成る82のがんリスクで比較。2019年の推定がん死亡数と障害調整生存年数 (DALY:Disability-adjusted Life Year）および2010年から2019年までの変化を検討した結果。
2019年の推定されたすべてのリスク因子に起因する世界のがん死亡数は、男女合わせて445万人（95％不確定区間[UI]：401万～494万）で、全がん死亡の44.4％（95％UI：41.3～48.4）。男女別では、男性288万人（95％UI：260万～318万）、女性158万人（95％UI：136万～184万）。それぞれ男性の全がん死亡の50.6％（95％UI：47.8～54.1）、女性の全がん死亡の36.3％（95％UI：32.5～41.3）。
また、推定されたすべてのリスク因子に起因するDALYは、男女合わせて1億500万（95％UI：9,500万～1億1,600万）で、全がんDALYの42.0％（95％UI：39.1～45.6）。
2019年のリスク因子に起因するがん死亡とがんDALYに関して、世界全体でこれらに寄与する主なリスク因子は、男女合わせると、喫煙、飲酒、高BMIの順。2010～19年に、リスク因子に起因する世界のがん死亡数は20.4％（95％UI：12.6～28.4）、DALYは16.8％（95％UI：8.8～25.0）増加。これらの増加率が最も高かったリスク因子は、代謝関連リスク（高BMI、空腹時血糖高値）。これらに起因する死亡数は34.7％（95％UI：27.9～42.8）、DALYは33.3％（95％UI：25.8～42.0）増加。（上表参照）
報告は、「修正可能なリスク要因への曝露を減らすことは、世界のがん死亡率およびDALY率を減少させる。また、政策は地域のがんリスクの状況に応じて適切に調整されるべきであろう」とまとめている。
「The global burden of cancer attributable to risk factors, 2010–19: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019」
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)01438-6/fulltext