低強度レジスタンス運動とケルセチン(タマネギ、ブロッコリー、緑茶などに多く含まれるポリフェノールの一種)配糖体の摂取の組合せで、中高齢者の「筋柔軟性」が改善(立命館大学 他)

 立命館大学スポーツ健康科学部 橋本 健志 氏、サントリーウエルネス株式会社健康科学研究所、順天堂大学スポーツ健康科学部 宮本 直和 氏、国立健康・栄養研究所 山田 陽介 氏、八戸学院大学の 有光 琢磨 氏らのグループの報告。2022年7月6日「Frontiers in Nutrition」に掲載。

 50歳から74歳の健常な中高齢者の男女54人を対象に、運動+プラセボ食品群、運動+低用量食品群、運動+高用量食品群の3つの群にランダムに分けて24週間介入。運動は、下肢を中心とした低強度レジスタンス運動(内容:レッグエクステンション、レッグカール、レッグプレス、チェストプレス、強度:最大挙上重量の40%、回数:14 回、3セット、頻度:週3回)。食品は、ケルセチンの吸収性を高めた食品成分のケルセチン配糖体*を200mg(低用量)または500mg(高用量)配合したカプセルを使用。筋柔軟性は、超音波エラストグラフィーを用いて大腿部の柔軟性を評価。

 結果、低強度レジスタンス運動のみと比較して、ケルセチン配糖体の摂取とレジスタンス運動を組み合わせることで、筋の柔軟性がより一層向上。(下図参照)

 報告は、「ケルセチン配糖体の補給と低強度の抵抗運動を組み合わせることで、筋肉量とは無関係に受動的な筋柔軟性が改善された。筋柔軟性の改善は、身体機能や足関節の可動域に影響することから、サルコペニアや高齢者のQOLの改善に役立つ可能性がある」とまとめている。

* ケルセチン配糖体
 ケルセチンを吸収しやすくした食品。ケルセチンはタマネギ、ブロッコリー、緑茶、リンゴなどに多く含まれている成分で、血流の改善や動脈硬化予防、抗酸化作用などが知られている。また、筋萎縮抑制作用や筋組織中の細胞外マトリックス(増加すると線維化し筋肉の柔軟性が失われる)を低下させる作用があると考えられている。


「低強度の運動とタマネギ・ブロッコリーなどのポリフェノールを含む食品摂取の組合せで、中高齢者の筋肉の質の一部「筋柔軟性」が改善することを解明―サルコペニアやQOL 向上の有効な対策として期待―」(立命館大学)
 http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=2705