高強度運動を150~300分/週または中強度運動を300~600分/週または両者の組み合わせと同等の運動を行うと死亡リスクが最も低下

 米・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのDong Hoo Lee 氏らの報告。2022年7月25日「Circulation」に掲載。

 米国心臓協会(AHA:American Heart Association)では、週に少なくとも中強度の有酸素運動を150分または高強度の有酸素運動を75分または両者の組み合わせを推奨している。しかし、推奨以上の運動が心血管に対してメリットになるのかデメリットになるのかは明らかでない。そこで、長期に自己申告形式による身体活動調査を複数回行い、中高年の長期にわたる身体活動と死亡リスクの関係を調査。

 米国の2つの大規模な前向きコホート(Nurses’ Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Study,1988~2018年)の成人計116,221名が対象。自己申告による余暇の身体活動を質問票は、追跡期間中に最大15回繰り返して評価。30年間の追跡期間中に、47,596人の死亡を確認。

結果

 高強度運動(75~149分/週)を満たす人と満たさない群を比較したハザード比は、全死因死亡率で0.81(95%CI、0.76~0.87)、心疾患死亡(CVD)で0.69(95%CI、0.60~0.78)、非CVD死亡で0.85(95%CI、0.79~0.92)。中強度運動(150~299分/週)を満たすことも死亡率の低下と関連しており全死因、CVD、非CVD死亡のリスクが19%~25%低下。(下図は全死亡と中強度および高強度運動時間との関係)

 身体活動ガイドラインを満たす群と比較して、高強度運動(150~299分/週)または中強度運動(300~599分/週)の推奨最低値を2~4倍上回ると答えた群は、それぞれ死亡率が2~4%、3~13%低下。

 高強度運動(300分/週以上)または中強度運動(600分/週以上)のいずれかを満たす群で、全死因、CVD、非CVD死亡率や害がさらに低くなることは確認できなかった。

 報告は、「これまでの研究で、マラソン、トライアスロン、長距離自転車レースなど長時間の高い強度の持久運動では、心血管疾患リスクが上昇する可能性が報告されている。しかし、今回の検討では、推奨量の4倍以上の運動を行った群でのリスクの上昇はなかった。しかし、推奨量の4倍以上の高強度運動(300分/週)または中強度運動(600分/週)を行った群での死亡リスクのさらなる低下も認められなかった。死亡率低下との関連がほぼ最大となるのは、高強度の運動を150~300分/週または中強度の運動を300~600分/週またはその両方を同等に実施した場合であった」とまとめている。


「Long-Term Leisure-Time Physical Activity Intensity and All-Cause and Cause-Specific Mortality: A Prospective Cohort of US Adults」
 https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.121.058162?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed