高齢者における身体活動強度と認知症の疑いの関係(筑波大学大学院 他)

 筑波大学大学院 永田 康喜 氏らの報告。2022年5月31日「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載。

 3,722人の高齢者が対象。ベースライン時にメール調査を実施。8年間追跡。
 身体活動レベルは、国際標準化身体活動質問票(IPAQ:Inernational physical activity questionnaire)の短縮版を用いて評価。1週間当たりの中強度身体活動および高強度身体活動に費やした時間を算出。
 認知症疑いに関する情報は、フォローアップ期間中に市のデータベースより入手。べースラインの評価から1年以内の発症例は除外したうえで、認知症疑いの発症リスクを推定するため、Cox比例ハザードモデルおよび制限3次スプライン回帰モデルを用いて評価。

結果

 追跡期間中の認知症の疑いの累積発生率は12.7%。

 中強度の身体活動を実践しなかった群と比較して、中強度の身体活動の300分以上実践した群は、認知症の疑いを発症するリスクが低かった(ハザード比、0.73:95%信頼区間0.56-0.95)。(上図参照)
 用量反応関係では、認知症疑いの発症リスクは中等度身体活動の実施時間の増加と共に、ほぼ直線的に減少。815分/週から有意に低い危険が観察された。
 高強度の身体活動と認知症の疑いとの間に有意な関連はなかった。

 報告は、「中強度の身体活動は認知症予防に好ましい効果があることを示唆した」とまとめている。


「Physical Activity Intensity and Suspected Dementia in Older Japanese Adults: A Dose-Response Analysis Based on an 8-Year Longitudinal Study」
 https://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad220104