長時間労働とメンタルヘルスに直接的関連はなし。不規則な食事時間と睡眠時間の短縮を介して心身のストレスに悪影響を及ぼす(東京医科大学)

注)図は本文とは直接は関係ありません

 東京医科大学精神医学分野 渡邉 天志 氏らの報告。2022年5月29日「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載。

 東京にある合計17社(情報技術、ゲーム開発、金融、放送、コンサルティング、貿易などのホワイトカラー企業および政府の公的機関、旅行代理店、特許庁、臨時代理店で構成)のパートタイム労働者を含む週に30時間以上働いている3,100人が分析対象。

 2017年4月から2018年3月まで、職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、残業時間、食事パターンなどオンライン横断調査結果。

 結果、長時間労働は心身のストレス反応に直接影響しないことが分かった。しかし、長時間労働が食事の不規則さや睡眠時間の短縮を招き、それらがうつや心身のストレス反応を引き起こしていた。

 報告は、「因果関係の証明はできていないが、労働時間の短縮が実現しても、睡眠不足や不規則な食事が続けば症状は改善しないが、長時間労働が続いても睡眠時間が確保され、食事が規則正しく摂取できれば、メンタルヘルスへの影響を限定的な範囲に抑えられる」とまとめている。


「Long Working Hours Indirectly Affect Psychosomatic Stress Responses via Complete Mediation by Irregular Mealtimes and Shortened Sleep Duration: A Cross-Sectional Study」
 https://www.mdpi.com/1660-4601/19/11/6715/htm