握力の低下と肥満の併発で軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)、認知症のリスクが増大(順天堂大学大学院)

 学校法人順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンター 染谷 由希 氏、代謝内分泌内科学・スポートロジーセンター 田村 好史 氏らの報告。2022年3月16日に「Clinical Nutrition」に掲載。

 東京都文京区在住高齢者のコホート研究“Bunkyo Health Study”に参加した65~84歳の高齢者1,615名(男性684名、女性931名)が対象。
 身長、体重、握力、認知機能検査を実施。BMI25以上を「肥満」、握力が男性28㎏、女性で18.5kg未満を「サルコペニア」と定義し、肥満もサルコペニアも該当しない「正常」、肥満のみ該当する「肥満」、サルコペニアのみ該当する「サルコペニア」、両方とも該当する「サルコペニア肥満」の4群に分類。認知機能検査(MoCA, MMSE)の点数や軽度認知障害(MoCA≤22点)、認知症(MMSE≤23点)の有病率を比較検討。

 結果

 「正常」、「肥満」、「サルコペニア」、「サルコペニア肥満」の順で、各認知機能検査の点数が低下し、軽度認知障害、認知症ともに有病率が増加。「サルコペニア肥満」は、「正常」と比べて、軽度認知障害のリスクは約2倍、認知症のリスクは約6倍。認知症は、「サルコペニア」でも「正常」と比べてリスクは約3倍。(上図参照)

 報告は、「サルコペニア肥満は、日本人の高齢者の軽度認知障害および認知症のリスクが高いことが明らかになった。軽度認知障害を有する人は、運動や食事などの生活習慣を改善することで、認知症の進行予防効果が期待される」とまとめている。


「サルコペニアと肥満の併発で認知症のリスクが増大」(順天堂)
 https://www.juntendo.ac.jp/news/20220415-01.html