京都大学の佐藤 豪竜氏らの報告。2021年10月29日「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」に掲載。
認知症リスクの軽減に対する身体活動の潜在的な因果関係を調査するため、雪国での居住は身体活動の頻度と負の相関があると仮定して、雪国での居住(平均最深積雪量が10cm以上を積雪地域と定義)を身体活動の操作変数(IV:instrumental variables)として評価。
日本老年学評価研究のコホートデータを使用。研究の対象者は、身体的および認知的に独立している日本の19の市町村に住む73,260人。平均5.7年間追跡。
対象者は、55,188人が雪のない地域、18,072人が雪の多い地域に居住。認知症の発生率は参加者を公的介護保険登録にリンクさせることにより確認。身体活動量は自己報告式の質問票により調査し、「International Physical Activity Questionnaire」「Global Physical Activity Questionnaire」などにより身体活動の強さを調整して1週間あたりの頻度を求めた。身体活動の実施頻度は、雪のない地域の対象者は週当たり1.38回。雪の多い地域の対象者は週1.25回。
調査期間中にそれぞれ6,218(11.3%)と2,496(13.8%)の認知症発症例を確認。
1週間当たりの身体活動の頻度と認知症リスクとの間に負の関係が認められた。この関係は時間経過とともに減少したが少なくとも4年間は継続。(上図参照)
報告は、「認知症リスクに対する身体活動の影響は、少なくとも4年間は継続することが示唆された。認知症のリスクを減らすために、高齢者には身体活動を推奨すべきである」とまとめている。
「Potential causal effect of physical activity on reducing the risk of dementia: a 6-year cohort study from the Japan Gerontological Evaluation Study」
https://ijbnpa.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12966-021-01212-w