2021年11月18日の地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所のプレスリリース。ソーシャルキャピタルと人口10万人あたりのコロナ死亡率の関連を調査した結果。
2020年8~9月に実施したインターネット調査(15~79歳の全国サンプル25,484名)のデータを使用。都道府県毎のコロナ死亡数は、厚生労働省のオープンサイト(https://covid19.mhlw.go.jp/)から入手し、2020年10月(調査後)~2021年6月の9か月間のデータを使用。
ソーシャルキャピタルは、「①地域の人々は、一般的に信頼できる(社会信頼)」「②地域の人々は、多くの場合、他の人の役に立とうとする(互酬性の規範)」「③政府は信頼できる(政府信頼)」「④近所付き合いの頻度(近隣ネットワーク)」「⑤ボランティア、スポーツ、趣味のグループへの参加(社会参加)」の5項目で測定。①~③は”認知的ソーシャルキャピタル”、④と⑤は”構造的ソーシャルキャピタル”。①~③は「そう思う」、④は「週1回以上」、⑤は「いずれかに参加」と回答した人の割合を都道府県毎に算出。インターネット調査特有の回答者の偏りを取り除くため、回答に重み付けを実施。
都道府県毎の人口密度、所得レベル、人口あたりの病床数の影響を統計学的に取り除いても、「②互酬性の規範」「③政府信頼」が高い都道府県ほど、人口10万人あたりのコロナ死亡率が低いという結果。(下図はコロナ死亡率と「②互酬性の規範」の関係)
報告は、「互酬性の規範が豊かな都道府県では、地域内での相互の助け合いの土壌があることでストレスフルなコロナ禍での生活に適応できた可能性がある。また、政府信頼が高い都道府県では、国や政府が出すメッセージへの遵守度が高かく、外出自粛の徹底や感染予防行動が促進され、結果として死亡率が低かった可能性がある」とまとめている。
「住民同士のつながりが強く、政府信頼が高い都道府県ほど、 新型コロナウイルス感染症による死亡率が低い」
https://www.tmghig.jp/research/release/2021/1118.html
この成果は、2021年10月19日に「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載。
「Social Capital and COVID-19 Deaths: An Ecological Analysis in Japan」
https://www.mdpi.com/1660-4601/18/20/10982/htm