地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チームの報告。2021年8月4日国際誌International Journal of Environmental Research and Public Healthに掲載。
2020年8~9月に実施した調査。全国のインターネット調査参加者28,000人中、不正回答が疑われた者を除く25,484人を解析した結果。解析では、インターネット調査特有の回答者の偏りを取り除くため、回答に重み付けを実施。社会的孤立は、「a.別居の家族や親戚」「b.友人・知人」それぞれとの「i.対面交流」「ii.メッセージのやり取り」「iii.音声での通話」「iv.ビデオでの通話」の頻度を尋ね、これらの合計が週1回未満であることと定義。
2020年1月(コロナ流行前)と8月(コロナ流行中;調査時点)の2時点について調査、比較検討。
社会的孤立者割合は、コロナ流行前は21.2%だったのが、コロナ流行中には27.9%で6.7ポイント増加。その程度は、男性であるほど、高齢であるほど大。(上表、図参照)
教育歴や所得によって社会的孤立者割合の変化に違いは見られず、社会経済状態による格差はコロナ禍でも維持されていた。
精神的健康との関連では、「コロナ流行前から変わらず孤立していない者」に比べ、「コロナ禍で孤立した者」は孤独感が高く、コロナに対する恐怖感が強いことが分かった。興味深いことに、「コロナ流行前から継続して孤立状態にある者」よりもその程度は強いものだった。
報告は「政府は、孤立・孤独対策担当大臣を設置し、孤立・孤独の問題に取り組む方針を示している。本研究は、社会的孤立対策では、コロナ禍で孤立した人への支援が特に重要であり、どのような層で孤立化が深刻かを提示することができた」とまとめている。
<プレスリリース>「コロナ禍では男性・高齢であるほど社会的孤立に陥りやすく、孤独感に深刻な影響:約3万人への全国調査にて判明」(東京都健康長寿医療センター研究所」
https://www.tmghig.jp/research/release/2021/0819.html
「Increase in Social Isolation during the COVID-19 Pandemic and Its Association with Mental Health: Findings from the JACSIS 2020 Study」
https://www.mdpi.com/1660-4601/18/16/8238
〔管理者コメント〕
正直なところ高齢者に不安は感じるが、若年者、例えば20歳代ですでに男性30.0%、女性16.7%が社会的孤立という結果により大きな不安を感じる。