COVID-19の発症・死亡リスクは低収入、公的支援受給者、飲食業などで上昇!喫煙と肥満は高死亡リスク!

 米・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのYuki Yoshikawa氏とIchiro Kawachi氏の報告。2021月7月1日 AMA Netw Open(2021; 4: e2117060)に記載。

 日本の全47都道府県を対象に、COVID-19の確定症例および死亡例(2021年2月13日まで)、人口および社会経済データを収集。都道府県別の平均年間世帯収入、ジニ係数(収入格差の指標)、公的支援の受給者の割合、学歴、失業率、不特定多数に接する頻度が高いサービス業(医療、小売業、運輸・郵便業、飲食サービス業)の従事者の割合、世帯の過密度(1人当たりの居住面積の狭さ)、喫煙率、肥満率を抽出し、それぞれ五分位に分類。Poisson回帰モデルを用い、各五分位群間におけるCOVID-19発症・死亡のリスク比(RR)を算出。

 結果、2021年2月13日までに全国でCOVID-19と確定診断された患者は41万2,126例(10万人当たり326.7例)、死亡例は6,910例(同5.5例)。物価の地域格差を調整後世帯収入が最も低い地域では、最も高い地域と比べてCOVID-19発症・死亡のリスク上昇が認められた(発症の調整後RR 1.45、95%CI 1.43~1.48、死亡の調整後RR 1.81、95%CI 1.59~2.07)。公的支援の受給者の割合(同1.55、1.52~1.58、1.51、1.35~1.69)、失業率(同1.56、1.53~1.59、1.85、1.65~2.09)、小売業の従事者の割合(同1.36、1.34~1.38、1.45、1.31~1.61)、運輸・郵便業の従事者の割合(同1.61、1.57~1.64、2.55、2.21~2.94)、飲食サービス業の従事者の割合(同2.61、2.54~2.68、4.17、3.48~5.03)。(上図参照)

 さらに、その他の社会経済的因子(物価の地域格差を調整後の世帯収入、ジニ係数、公的支援の受給率、学歴、失業率)を調整。世帯の過密度(発症の調整後RR 1.35、95%CI 1.31~1.38、死亡の調整後RR 1.04、95%CI 0.87~1.24)、喫煙率(同1.63、1.60~1.66、1.54、1.33~1.78)、肥満率(同0.93、0.91~0.95、1.17、1.01~1.34)で同様にリスク上昇。

 報告者らは「日本におけるCOVID-19発症率および死亡率には各種の社会経済的因子が関連しており、欧米と同様の社会経済的格差が認められた。COVID-19のワクチン接種などの対応において、社会的に不利な地域の集団を優先することを検討することが必要」とまとめている。


「Association of Socioeconomic Characteristics With Disparities in COVID-19 Outcomes in Japan」
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34259847/