日本人高齢者のサルコペニアの有病率、関連因子、 死亡・要介護化リスクを解明(東京都健康長寿医療センター研究所)

 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所の北村明彦研究部長らの報告。Journal of Cachexia, Sarcopenia Muscleに掲載。

 群馬県と埼玉県の地域の高齢者健診受診者計1,851人(平均年齢72歳)を対象に、平均5.8年間(最大9.5年)の追跡研究。サルコペニアの定義はアジア人の基準(AWGS 2019)に基づき、筋肉量の一定の減少(四肢骨格筋指数が男性で7.0kg/m2未満、女性で5.7kg/m2未満)に加えて、筋力・身体機能の一定の低下(握力低値:男性で28kg未満、女性で18kg未満、または歩行速度の低値:男女ともに毎秒1m未満)が認められた場合にサルコペニア有りと判定。

 結果、サルコペニアの有病率は、年齢とともに上昇し、75~79歳では男女ともに約22%、80歳以上では男性の32%、女性の48%がサルコペニアに該当。サルコペニアの人はそうでない人に比べて、男性では「身体活動が少ない」「血液中のアルブミン濃度が低い」「喫煙者が多い」「最近1年以内の入院が多い」、女性では「うつ症状が多い」「認知機能の低下が多い」ことがわかった。

 また、サルコペニアの人は、筋肉量、筋力ともに低下していない人に比べて、総死亡リスクは男性で2.0倍、女性で2.3倍高く、要介護発生リスクは男性で1.6倍、女性で1.7倍高くなることが明らかとなった。(下図参照)

 報告は、「高齢期のサルコペニアを早期発見し、運動や栄養等の生活習慣の改善等によって、その進行を食い止めることは健康寿命の延伸に貢献すると考えらる。その一環として、高齢者の保健・介護予防分野に筋肉量や筋力の評価が組み込まれること、及び高齢者の筋肉の維持に関する効果的な介入方法が見出されることを期待する」とまとめている。

東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース
「日本人高齢者のサルコペニアの有病率、関連因子、 死亡・要介護化リスクを解明」
 https://www.tmghig.jp/research/release/2021/0218.html


〔管理者コメント〕

 理解できないこともないのですが、高齢者になってからの対策では遅いのでは?