国立研究開発法人 国立成育医療研究センターの社会医学研究の社会医学研究部・こころの診療部を中心としたグループ「コロナ×こども本部」が2020年11月~12月に実施した「コロナ×こどもアンケート」第4回調査の報告。対象は全国のこども924名、保護者3,705名、計4,629名。
結果のポイント
・ 回答した小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状があった(PHQ-A*1日本語版を使用して調査)。下図参照。
・ 小学4年生以上のこどもの6%が「ほとんど毎日」自殺や自傷行為について考えた(「死んだ方がいい、または自分を何らかの方法で傷つけようと思った」)と回答。
・ 回答した保護者の29%に中等度以上のうつ症状があった(PHQ-9*2日本語版を使用して調査)。
報告者は、「今回の調査では、保護者も約3割に「中等度以上のうつ症状」があった。育児・家事に仕事にと、保護者にも大きな負担がかかっていることと思う。きっと学校の先生方も同じ。こどもの SOS に気づいて対処するためには、まず大人の心に余裕が必要。みんなが大変な今こそ、支え合いが求められる」とまとめている。
*1 PHQ-A(Patient Health Questionnaire-9 for Adolescents)
PHQ-9(成人用のうつ症状の重症度を評価する尺度(*2)を改訂して作られた、思春期のこどもを対象としたうつ症状の重症度尺度。過去7日間について、①「気分が落ち込む、憂うつになる、いらいらする、または絶望的な気持ちになる」、②「物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない」など、9項目の質問から構成。各項目は、PHQ-9(*2)と同様に4点スケールで評価され、総合点が高いほど重度のうつが示唆される。9個目の質問が「死んだ方がいい、または自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある」となっていて、自殺・自傷念慮を反映するとされている。
*2 PHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)
DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders;世界的に用いられている精神障がいの診断基準)に基づいて開発された精神科5疾患のスクリーニング尺度である PHQ(Patient Health Questionnaire)から、うつ病に関する9項目を取り出して作られたうつ症状の重症度尺度。過去2週間について、①「物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない」、②「気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる」など、9項目の質問から構成されている。各項目は、4点スケール(0:全くない、1:数日、2:半分以上、3:ほとんど毎日)で評価され、総合点が高いほど重度のうつが示唆される。5~9点が軽度、10~14点が中等度、15~19点がやや重度、20点以上は重度と評価。
「コロナ×こどもアンケート」第4回調査報告(国立成育医療研究センター)プレスリリース(PDFファイル)
https://www.ncchd.go.jp/press/2021/20210210.pdf
〔管理者コメント〕
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