4階まで1分で上れたら、ひと安心!?約60段の上り階段を立ち止まらずに!

 階段を4階まで1分以内に上ることができれば、心臓の状態は良好である可能性が高いことを示した研究結果。ア・コルーニャ大学病院(スペイン)のJesus Peteiro氏らが、欧州心臓病学会(ESC)科学プログラムのバーチャル会議(EACVI-Best of Imaging 2020、12月11~12日)で報告。

 研究対象は、冠動脈疾患の既往のある患者、または、胸痛や労作時の息切れなどの症状が見られ冠動脈疾患が疑われる人で、運動負荷試験が有用とされる165人。

 トレッドミルによる運動負荷試験を施行。走行速度を徐々に上げ、疲労困憊に至るまで負荷を続け、METs(metabolic equivalents。代謝当量)を計測。その後、15~20分間の休息を挟んで、階段を上る試験を実施。1階から4階まで60段の階段を走らずに、かつ、立ち止まらずできるだけ短時間で上るというもの。トレッドミルによる運動負荷試験で得られたMETsと階段を上るのに要した時間を比較したところ、40~45秒以内に4階まで上れた人は、トレッドミル試験でのMETsが9~10以上であることが分かった。 これまでの研究から、運動負荷試験で10METs以上の運動耐容能が確認された人の死亡率は、1年当たり1%以下(10年以内に10%以下)と低率。今回の研究で、階段を上るのに1.5分以上かかった人は、トレッドミル試験の結果が8METs未満であった。これは、1年当たりの死亡率が2~4%、10年以内では30%の死亡率に相当。今回の試験でも、4階まで上るのに1.5分以上かかった人では、その58%にトレッドミル試験で心機能の異常が認められた。一方、1分未満で上れた人では心機能の異常が認められたのは32%だった。

 報告者は、「階段を利用した負荷試験は、心臓の健康状態を簡単にチェックできるスクリーニング法と言える。日常生活で4階まで上るのに1.5分以上かかるようであれば、健康状態に問題がある可能性が考えられ、医師に相談した方がよい」と述べている。


〔管理者コメント〕
 「40~45秒以内に4階まで上れた人は、トレッドミル試験でのMETsが9~10以上、に相当」は、「健康づくりのための身体活動基準2013」の「性・年代別の全身持久力の基準」(下図「参考」参照〕などとほぼ一致すると思われる。中長期的に日常生活での階段利用のもたらす効果には計り知れないものがある。

〔参考〕