最近の研究で、歩行速度と死亡リスクの関係だけでなく、フレイル※、生活習慣病、ロコモティブシンドローム、認知症などとの関係も明らかになっています。
歩行速度は、上図に示すとおり「歩幅」と「ピッチ」の積で決まります。歩行速度の低下は「歩幅」の減少か「ピッチ」の減少により生じますが、加齢に伴う歩行速度の低下の初期は「歩幅」の減少による影響が大きいと考えられています。
歩行速度が、概ね時速3.6km(毎秒1.0m)以下になるとフレイルのリスクが高まります。上図 の 左 表 は 歩 行 速 度 が そ の 時 速3.6km(毎秒1.0m)を有するために必要な歩幅の目安を示しています。また、上図の右表は一般的な歩幅の目安を示しています。
歩幅は、距離と歩数がわかれば導き出すことができますが、大まかな目安は、日常生活活動中に簡単に確認できます。横断歩道の白線とその間は45cmから50cm(最近は45cmが多い)と定められています。上図のように白線部またはその間部を完全にまたげれば、45cm(50cm)+足のサイズで大まかな歩幅を知ることができるので参考にしましょう。
注)今の自分の歩幅を基本に取組む
歩行速度や歩幅の目安を示しましたが、最も大切なことは今の自分を基本に取組むことです。短時間でも僅かな距離でもかまいません。少し歩幅を広げて伸び伸び歩くことを心がける場所や時間を作って実践しましょう!!
※フレイル(Frailty)
高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態。構成要素には身体的問題だけでなく、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題が含まれる。