野菜、果物、魚の摂取量が(最も)少なく、食塩摂取量が基準以上の場合、循環器疾患死亡リスクは約3倍!(滋賀医科大学アジア疫学研究センター)

 

 滋賀医科大学アジア疫学研究センターの三浦克之センター長らの研究グループがNIPPON DATA研究※から「食事因子による循環器疾患死亡リスク評価チャート」を作成した論文が日本循環器学会の学会誌「Circulation Journal」電子版で公開されました。

 研究グループは、1980年の国民・栄養調査に全国から参加した30~79歳の男女9,115人(男性4,002人、女性5,113人、平均年齢50.0歳)を29年間追跡したデータを用いて、それぞれの1日の推奨量(野菜350g、果物200g、魚80g、食塩は男性8g、女性7g)に対する過不足により、摂取量を評価し、複数のカテゴリーに分類して追跡期間中の循環器疾患(脳卒中および心臓病)による死亡リスクとの関連を分析しています。

 その結果、29年間で1,070人が循環器疾患により死亡。野菜、果物および魚摂取量が少ないほど、また食塩摂取量が多いほど、循環器疾患死亡リスクは高いことが明らかになっています。食事因子の組み合わせによる循環器疾患死亡リスク(ハザード比※)を作成したところ、A 「野菜175g未満、果物100g未満、魚40g未満と摂取量がもっとも少なく、食塩摂取量が基準以上の場合」は、B「参照カテゴリー(野菜350g以上、果物200g以上、魚80g以上と摂取量がもっとも多く、食塩摂取量が基準未満の場合)」と比較して、循環器疾患死亡リスクは2.87倍に上昇しました。


※NIPPON DATA研究 
 厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査(毎年)、循環器疾患基礎調査(10年ごと)の長期追跡研究。全国の大学の研究者を中心とした厚生労働省研究班が実施しており、1980年の対象者約1万人(29年間追跡)、1990年対象者約8千人(25年間追跡)、2010年の対象者約3千人(追跡6年目)からなっている。
※ハザード比
 最も望ましい摂取量である参照グループ(1.00)に対して、長期の循環器疾患死亡リスクが何倍高いかを示している。