国立長寿医療研究センター研究所老年学・社会科学研究センター老化疫学研究部 西田 裕紀子 氏らの報告。研究成果は2023年10月26日「Geriatrics & Gerontology International」に掲載。
「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA:National Institute for Longevity Sciences – Longitudinal Study of Aging)」のデータを使用。最終分析対象は540人(平均年齢71.4歳、標準偏差4.6)。
喫煙状況はアンケートの回答に基づき判定。喫煙歴がない人と禁煙後の人を「非喫煙者」、現在も吸っている人を「喫煙者」とした。また受動喫煙については、家庭内や職場環境などでの自分以外の喫煙者の有無と、その人に接する頻度を問い、それらの喫煙者との接触頻度が「なし」以外(毎日または時々のいずれか)を「受動喫煙曝露者」と定義。身体的フレイルについては、CHS(The Cardiovascular Health Study)基準を用いて該当するか否かを判定して分析。
結果
平均6.6年間の追跡で、139人が新たに身体的フレイルと判定された。
「非喫煙者」群と比較して、「喫煙者」群の身体的フレイルリスクは約2.4倍(オッズ比[OR] 2.39、95%信頼区間[CI] 1.21-4.74)、特に男性は約3.8倍(OR 3.75、95%CI 1.76~8.00)、75歳以上の高齢者は約4.1倍(OR 4.12、95%CI 1.43~11.87)高い結果。
「非喫煙かつ受動喫煙曝露のない」群を基準とすると、「喫煙者で受動喫煙曝露のある」群は約3.5倍(OR 3.47、95%CI 1.56~7.73)高い結果。(上図参照)
さらに対象を喫煙者のみとした場合、「受動喫煙に曝露されていない喫煙者」群を基準とすると、「受動喫煙に曝露された喫煙者」群は約9.0倍(OR 9.03、95%CI 2.42-33.77)高い結果。
報告は、「喫煙と受動喫煙はそれぞれ独立した身体的フレイルのリスク要因だが、重複した場合はさらに著しくリスクが高くなる」とまとめている。
「Effects of cigarette smoking and secondhand smoke exposure on physical frailty development among community-dwelling older adults in Japan: Evidence from a 10-year population-based cohort study」(Geriatrics & Gerontology International)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ggi.14708