東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野の 篠崎 奈々 氏、村上 健太郎 氏らの研究グループの報告。2023年3月6日東京大学ホームページにて公表。研究成果は2023年3月6日「Nutrients」に掲載。
超加工食品は、複数の食材を工業的に配合して製造された加工の程度が非常に高い食品。多く摂取することで食事の質が低下するリスクが高いことから、超加工食品の摂取量を調査し、年齢、体格、喫煙状況などの個人的特性との関連を分析。
2016~2018年に日本の32都道府県に住む18~79歳の日本人成人2,742人から得られた食事記録のデータを使用。参加者には、8日間にわたって食べたり飲んだりしたものを全て計量して記録してもらい、記録されたすべての食品を研究者が加工レベル別に分類。分類には、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者らが開発した食品分類の枠組み(加工レベルが低い順に「未加工/最小限の加工」「基本的な加工」「中程度の加工」「高度な加工(超加工食品)」の4段階に分類)を使用。
〔加工レベル別の食品の例〕
・ 未加工/最小限の加工
卵、玄米、はちみつ、ハーブ、香辛料、野菜、果物など
・ 基本的な加工
濃縮還元でない無糖の果物ジュース、卵白、全粒粉、油、無塩バターなど
・ 中程度の加工
加糖の果物ジュースや野菜ジュース、加糖ヨーグルトなど
・ 高度な加工(超加工食品)
ゼリー、マーガリン、ポテトチップス、ソーセージ、ハム、菓子パン、アルコール飲料、清涼飲料など
また、外食や惣菜などの家庭外で調理された料理を、料理に含まれる個々の食材をそれぞれ加工レベル別に分類する場合(超加工食品をより少なく見積もるシナリオ)と、すべて超加工食品に分類する場合(超加工食品をより多く見積もるシナリオ)の2通りで食品を分類。
各推定シナリオにおいて超加工食品の摂取量を推定し、個人的特性(年齢、性別、BMI、世帯収入、教育歴、雇用形態、喫煙状況、身体活動量)との間に関連があるかどうかを検討。
結果のポイント
1日の総エネルギー摂取量に対して超加工食品が占める割合の平均値は、超加工食品をより多く見積もるシナリオでは42.4%、超加工食品をより少なく見積もるシナリオでは27.9%。また、シナリオにかかわらず、超加工食品からの総エネルギー摂取量に占める割合が最も大きい食品群は、穀類およびでんぷん質の食品(パンや麺など)。
超加工食品の摂取量と個人特性との関連に関しては、総エネルギー摂取量のうち超加工食品が占める割合は、60~79歳の群に比べて18~39歳の群で統計的に有意に高く、過去に喫煙していた群および一度も喫煙したことのない群と比べて喫煙者群で統計的に有意に高いことがわかった。(上図参照)
報告は、「超加工食品が日本人成人のエネルギー摂取量の平均して3~4割程度を占めることを示唆。若い年齢と現在の喫煙は、超加工食品消費の危険因子である可能性があり、超加工食品消費を減らすための将来の介入戦略で考慮する必要がある」とまとめている。
「超加工食品の摂取量は年齢や喫煙状況によって異なるか?」(東京大学)(PDFファイル)
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400209526.pdf
「Highly Processed Food Consumption and Its Association with Anthropometric, Sociodemographic, and Behavioral Characteristics in a Nationwide Sample of 2742 Japanese Adults: An Analysis Based on 8-Day Weighed Dietary Records」(Nutrients)
https://www.mdpi.com/2072-6643/15/5/1295