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筑波大学 石橋 澄子 氏らの報告。2022年12月7日 ホームページ「TSUKUBA JOURNAL」にて公表。研究成果は2022年7月21日「Transportation Research Interdisciplinary Perspectives」に掲載。
2020年年8⽉に国⼟交通省の⾏った「新型コロナ⽣活⾏動調査」の結果を利⽤。全国の18歳以上の12,872名よりCOVID-19流⾏前、第1回緊急事態宣⾔中(2020年4⽉16⽇〜5⽉13⽇)、その解除後の3つの時期のすべてで仕事をしていて、平均的な平⽇における15分ごとの⽣活⾏動を振り返って回答した結果の揃った就業者4,484名の結果を分析。
各時期の交通⼿段ごとの移動時間から、そのデータに運動強度を紐づけて⾝体活動量を計算。働き⽅のパターンから「通勤→通勤→通勤」、「通勤→テレワーク→通勤」、「通勤→テレワーク→テレワーク」、「テレワーク→テレワーク→テレワーク」の4つのグループに分類。働き⽅の変化の影響とCOVID-19の影響を区別するため、通勤のための移動とそれ以外(例えば買い物)の移動による⾝体活動量を区別して⽐較検討。
結果
通勤をしている⼈は、平均で合計約4.5METs・時を通勤から得ているのに対し、それ以外の移動からは平均で合計約0.8 METs・時で、移動による⾝体活動量のほとんどを通勤によって得ていることが分かった。
テレワークをしている⼈は、通勤以外の移動による⾝体活動量は、通勤している⼈よりも平均で合計約1.0 METs・時多くなっていたが、通勤の移動がないため、全体としては著しく減少していた。この傾向は、特に若い⼈や⼥性で顕著に⾒られた。
また、それぞれのグループで、リモート化がもたらす運動不⾜への危機意識を尋ねた質問の回答を集計したところ、緊急事態宣⾔中にテレワークを始め、解除後も継続している⼈たちのグループは、リモート化による運動不⾜を最も危惧しており、移動による⾝体活動量が減少した反⾯、スポーツなどをする時間を増加させていた。⼀⽅、COVID-19流⾏前からテレワークをしているグループは、移動による⾝体活動量が最も少なく、スポーツなどをする時間も短い上、リモート化による運動不⾜への危機意識も最も低いことが分かった。つまり、テレワークへの突然の転換は運動不⾜への危機意識を⼀時的に⾼めるものの、⻑い期間テレワークを続けることによって、⽇常的に運動不⾜であるにも関わらず、それに対する危機意識は低下していくリスクが高いといえる。
報告は、「テレワークは、今後、働き⽅の⼀選択肢として定着することが予想される。その中で都市の健康、都市で暮らす⼈々の健康を⽀えていくためには、通勤以外の⽇常的な移動や運動がしやすい環境を作っていくことが⼤切。歩く、⾛る、⾃転⾞に乗るなどの移動や運動のしやすい都市構造や、そういった活動をする時間が確保しやすい働き⽅の仕組みづくりが不可⽋になると考えられる」とまとめている。
「長期間のテレワークは運動不足への危機意識を低下させる可能性がある」
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20221207140000.html