趣味を持つ人は認知症の罹患リスクが低い(多目的コホート研究)

 多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)の報告。2022年5月14日「Journal of Epidemiology」に掲載。

 平成5年から6年(1993年から1994年)に茨城県水戸、高知県中央東の2保健所管内(呼称は2019年現在)在住の40歳から69歳の男女のうち、アンケート調査に回答し、脳卒中の既往がない22,377人が対象。平成28年(2016年)まで追跡。アンケートより「趣味がない」「趣味がある」「趣味がたくさんある」の3グループに分類。介護保険認定情報から把握した認知症との関連を分析。

 中央値11.0年の追跡期間中に、3,095人が認知症を発症。


 趣味がない人と比較して、趣味がある人では18%、趣味がたくさんある人では22%リスクが低かった。(上図左参照)アンケート回答時の年齢層を中年期(40-64歳)とそれ以上(65-69歳)で分けた場合、いずれの年齢層でも趣味を持つ人ではリスクが低かった。(上図中、右参照)。
 また、2006年から2012年までの追跡期間中に、1,333人が脳卒中既往のない認知症、466人が脳卒中既往のある認知症となった。趣味がない人と比較して、趣味がある人、趣味がたくさんある人では、脳卒中既往のない認知症の罹患リスクが23%低かった。一方で、趣味と脳卒中既往のある認知症との間には明らかな関連はみられなかった。

 報告は、「趣味を持つことは認知症、特に脳卒中既往のない認知症の罹患リスクを低下させる可能性が示された」とまとめている。


「趣味と要介護認知症との関連について」(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8955.html