高齢期のQOLは“低下群”と“維持群”に分かれる。低下には、睡眠の質、足の筋力、バランス、抑うつ傾向などが関連!(名古屋大学、弘前大学)

名古屋大学大学院の大島 涼賀 氏、弘前大学の玉田 嘉紀 氏らの研究グループの報告。2026年1月9日両大学のホームページにて公表。研究成果は、2025年12月7日「Scientific Reports」に掲載。
弘前大学が実施している大規模健康調査「岩木健康増進プロジェクト健診」のデータを使用。2007年から2018年の間に参加した60歳以上の人よりデータの欠損等を除いた、SF-36※サブスケールごとに合計4,799件の記録を持つ910人が対象。最長12年間にわたって加齢に伴う身体的・精神的なQOL(Quality of Life:生活の質)の変化を分析。
以下結果のポイント
・ 一部の健康関連QOLは一様に低下するのではなく、“低下群”と“維持群”に分かれる。
・ QOL低下には、睡眠の質や足の筋力、バランス、抑うつ傾向などの予測因子が関連。
・ 就寝時刻・起床時刻といった睡眠スケジュールの問題ではなく、睡眠の“質”自体が決定的に重要。
報告は、「ある時点で同じ健康関連QOLスコアを示していたとしても、その後に安定して維持される人と、急に低下する人が存在することを示した点は重要であり、単一時点の評価だけでは将来の健康状態を見誤る可能性があることが明らかになった。さらに、睡眠の質、足の筋力、バランス、抑うつ傾向といった非侵襲的で特別な機器を必要とせずに評価できる項目が、将来の健康関連QOLの低下リスクの要因であることが示された。これらは地域医療や公衆衛生分野など、様々な場面で活用できる可能性があり、高齢者の健康寿命を延ばすための早期介入の実装可能性を高める」とまとめている。
※ SF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)
世界的に使用されている健康関連QOLを測る質問票。下位尺度は身体機能、日常 役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康という8つの側面から構成され、日常生活の健康を総合的に評価する。
「高齢者の"生活の質"変化パターンとその予測因子を同定 12年分のビッグデータ解析、健康寿命延伸へ重要な知見」(名古屋大学)
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2026/01/post-927.html
「高齢者の“生活の質”変化パターンとその予測因子を同定12年分のビッグデータ解析、健康寿命延伸へ重要な知見」(弘前大学)
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/110385/
「Longitudinal trajectories of health-related quality of life and their predictors among community-dwelling older adults」(Scientific Reports)
https://www.nature.com/articles/s41598-025-30307-8