健康を維持するのに最適な1日当たりの歩数は「7000歩」!?

 シドニー大学 Ding Ding 氏などの研究チームによる報告。研究成果は、2025年7月23日「The Lancet Public Health」に掲載。

 1日の歩数と主要な健康アウトカム(全死亡率、心血管疾患の発生率および死亡率、2型糖尿病の発生率、がんの発生率および死亡率、認知症、うつ症状、身体機能、転倒など)との用量反応関係を前向きに検証したこれまでで最大かつ最も包括的な統合研究。2014年1月1日から2025年2月14日までに発表された文献をPubMedとEBSCO CINAHL等で検索。抽出した57件の論文(約16万人分のデータ)を使用。

以下 主な結果の抜粋

第一 1日の歩数が控えめであっても、健康上の利点と関連。
 ex. 1日4,000歩は1日2,000歩と比較して、全死亡リスクが36%低下。

第二 検討したすべてのアウトカムにおいて、1日2,000歩と比較して、1日7,000歩ではリスクが6~47%低下。
・ 全死亡リスクが47%低下
・ 心血管疾患発症リスクが25%低下
・ 心血管疾患による死亡リスクが47%低下
・ がん発症リスクは6%低下
・ がんによる死亡リスクが37%低下
・ 2型糖尿病発症リスクが14%低下
・ 認知症発症リスクが38%低下
・ うつ症状のリスクが22%低下
・ 転倒のリスクが28%低下

第三 1日7,000歩を超えても1日12,000歩まで、ほとんどの結果において1日1,000歩増加するごとに健康リスクは概ね減少。しかし、一部のアウトカムではリスクが横ばい状態になった。
 1日7,000歩は現実的で達成可能な推奨値といえるが、より活動的な人にとっては1日10,000歩も依然として現実的な目標値となり得る。


 報告は、「1日の歩数は、主要な健康アウトカムのリスク低下と一貫して関連している。歩数が少ない場合でもリスク低下は見られるが、1日あたりの歩数が増えるにつれてリスク低下は継続する。1日あたり約7,000歩は、調査対象となった全てのアウトカムのリスク低下と関連しており、実用的な定量的な公衆衛生目標として役立つ可能性がある」とまとめている。


「Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis」(The Lancet Public Health)
 https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(25)00164-1/fulltext