2024年7月31日ランセット常設委員会は、認知症の予防、介入、ケアに関する第3回の会合の結果を公表。「Dementia prevention, intervention, and care 2024」として、「The Lancet」に掲載。
認知症の発症リスクに影響を与える要因に関する最新の証拠を検討した結果、2020年報告の12のリスク要因に「高LDLコレステロール」と「矯正されていない視力低下」の2つを追加し14のリスク要因とした。
以下 主なメッセージの一部紹介
14のリスク要因に完全に対処することで認知症の約45%を予防または遅らせることができる。(下図参照)
認知症リスク低減のための具体的行動 -14のリスク要因に対する具体的な推奨行動-
・ すべての人が質の高い教育を受けられるようにし、認知能力を守るために中年期の認知を刺激する活動を奨励する。
・ 難聴者のために補聴器を利用しやすくし、有害な騒音への暴露を減らす。
・ うつ病を効果的に治療する。
・ コンタクトスポーツや自転車に乗る際はヘルメットや頭部保護具の使用を奨励する。
・ スポーツや運動をする人は認知症発症リスクが低いので運動を奨励する。
・ 教育、価格管理、公共の場での喫煙防止を通じて、喫煙を減らし、禁煙のアドバイスを受けやすくする。
・ 高血圧を予防または軽減し、40歳以降、収縮期血圧を130mmHg以下に維持する。
・ 中年期から高LDLコレステロールを検出し、治療する。
・ 健康的な体重を維持し、肥満を早期に治療する。
・ 価格管理と、過剰摂取のレベルとリスクに対する認識を高めることにより、アルコールの過剰摂取を減らす。
・ 高齢者に優しく、支え合えるコミュニティ環境や住宅を優先し、活動への参加や他者との生活を促進することで、社会的孤立を減らす。
・ 視力低下の検診と治療をすべての人が受けられるようにする。
・ 大気汚染への曝露を減らす。
「Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission」(The Lancet)
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01296-0/abstract
2017年の報告では、認知症は「教育」、「難聴」、「高血圧」、「肥満」、「喫煙」、「うつ」、「社会的孤立」、「身体活動不足」、「糖尿病」の9つのライフスタイルと環境の危険因子に関連しているという十分な証拠があると結論づけられた。9つのリスク要因を改善することにより発症を遅らせたり、発症を約35%ほど予防する効果が期待できると報告。(下図参照)
3年後の2020年には、リストに「飲酒量」、「大気汚染」、「頭部外傷」の3つの新たなリスク要因を追加し12のリスク要因とした。認知症の約40%が修正可能なこの12のリスク要因に関連していると示唆。(下図参照)