10年間で、全体的にビタミンD欠乏症の有病率が改善。しかし、30~50歳代の女性は、ビタミンD欠乏症の割合が高く、閉経前にビタミンDレベルを高める必要がある!(東京大学 他)
東京大学医学部附属病院22世紀医療センターの 吉村 典子 氏らの報告。研究成果は、2025年8月27日「Archives of Osteoporosis」に掲載。
変形性関節症/骨粗鬆症と障害の予防を目的とした地域住民コホート研究であるROAD研究(Research on Osteoarthritis/Osteoporosis against Disability)のデータを使用して10年間のビタミンD不足と欠乏症有病率を比較検討。ベースラインは、2005年~2007年にかけて実施した1,683名(男性595名、女性1,088名)、10年後(第4回調査)は2015~2016年に実施した1,906名(男性637名、女性1,269名)が対象。
結果(一部抜粋)
・ 血清ビタミンD濃度の平均値は、ベースラインは23.3 ng/mL。10年後調査は25.1 ng/mLで有意な上昇を示した。
・ ビタミンD不足および欠乏症有病率は、ベースラインではそれぞれ52.9%および29.5%。10年後(第4回調査)ではそれぞれ54.8%および21.6%で有意な減少を示した。
・ ビタミンD欠乏症のみを抽出し、性別・年齢層別に、ベースライン調査と10年後(第4回調査)における有病率を比較。すべての年齢層においてビタミンD欠乏症は減少したが、30~50歳代の女性は、60歳以上と比較してビタミンD欠乏症の割合が高く、高齢期の骨粗鬆症、骨折予防に備えて閉経前にビタミンDレベルを高める必要がある。(下図参照)

報告は、「10年間隔の地域住民調査においてビタミンD欠乏症の有病率が有意に減少。この好ましい傾向は、今後の骨粗鬆症および骨折発症率の低下に寄与する可能性がある」とまとめている。
「Trends in the prevalence of hypovitaminosis D over a 10-year period in Japan: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study 2005–2015」(Archives of Osteoporosis)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12391225/