神戸大学大学院医学研究科の 片岡 葵 氏らの報告。2025年4月22日神戸大学、大阪医科薬科大学のホームページで公表。研究成果は、2024年11月29日「BMC Public Health」に掲載。
2020年3月と2021年3月にアンケート調査を実施。第1回目の調査は東京都・大阪府・青森県で営業している6,000店舗、第2回目の調査は第1回目の調査で回答があった809店舗と新たに追加した2,800店舗の合計3,609店舗を対象とし、法律・条例施行前後の屋内の喫煙状況を把握。次に、この調査の結果と飲食店グルメサイトの登録件数を用いて、法律・条例の施行後、日本全国の飲食店における屋内喫煙状況の推計した結果。
結果のポイント
・ 法律・条例の規制対象外となる小規模店舗で、分煙・喫煙可能から全面禁煙に変更した店舗は35%。
・ 法律・条例の規制対象店舗は全面禁煙に変更しなければならないことが義務付けられているが、「分煙・喫煙可」の飲食店のうち78%が法律・条例施行後も分煙・喫煙を継続していた。
・ 全国での推計では、全面禁煙の飲食店の割合は55%から69%に増加。しかし、仮にすべての規制対象店舗が法律に則って禁煙化をしていれば、禁煙化の割合は86%と推計される。(下図参照)

報告は、「2020年度の法律・条例の変更はその内容の理解や規制が不十分な可能性が示された。日本における包括的な規制が求められる」とまとめている。
「飲食店の禁煙化に部分規制を伴う法改正では不十分な実態を明らかに」(神戸大学) https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20250422-66595/
「飲食店の禁煙化に部分規制を伴う法改正では不十分な実態を明らかに」(大阪医科薬科大学)(PDFファイル) https://www.omp.ac.jp/public/u5lpoq0000004m2q-att/jcnd8h000000tdgl.pdf
「How much progress has been made toward a smoke-free environment in the restaurants and bars of Japan? Limitations of partial bans and their enforcement」(BMC Public Health) https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-024-20765-6