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米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院および米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の 鵜飼 知嵩 氏らの研究グループによる報告。研究成果は、2025年2月12日「Gut Microbes」に掲載。
ヨーグルトには一般的にビフィズス菌が含まれていることから、長期間のヨーグルト摂取が、組織中のビフィズス菌の量に応じて、腫瘍のタイプごとに大腸がんの発生と異なる関連を示す可能性があるとの仮説を立てて検討。
対象者は、1976年に30〜55歳の女性看護師を登録して開始されたNurses’Health Study(NHS)と1986年に40〜75歳の男性医療従事者を登録して開始されたHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)から抽出した13万2056人。プレーンヨーグルトとフレーバーヨーグルトの毎日の摂取量はアンケートにて調査。2016年1月1日まで追跡した結果。
132,056人の対象者のうち3,079人が大腸がんを発症。腫瘍がビフィズス菌陽性であったかどうかのデータは、1,121例の腫瘍について入手。ビフィズス菌陽性は346例(31%)、ビフィズス菌陰性は775 例 (69%) 。
大腸がんのリスクとヨーグルトの摂取量との間に統計学的に有意な関連は認められなかったものの、週2回以上ヨーグルトを摂取する人では、1カ月の摂取頻度が1回未満の人に比べてビフィズス菌陽性の大腸がんリスクが20%低下する可能性が示唆された(調整ハザード比0.80、95%信頼区間0.50〜1.28)。一方、ビフィズス菌陰性の大腸がんリスクについては、明確な低下は認められなかった(同1.09、0.81〜1.46)。このようながんのタイプによる関連の違いは、近位大腸がん(盲腸、上行結腸、横行結腸)においても確認。
報告は、「長期にわたるヨーグルト摂取と大腸がん、特に近位結腸がんの発生率との間に、腫瘍組織のビフィズス菌の豊富さによる差異的な関連性が観察された。長期にわたるヨーグルト摂取はビフィズス菌陽性近位結腸がんの発生率を低下させる可能性があるが、ビフィズス菌陰性サブタイプでは低下させない可能性があることを示唆している。長期にわたるヨーグルト摂取が大腸がんの発がんに及ぼす影響の潜在的なメカニズムを解明するには、さらなる研究が必要」とまとめている。
「Long-term yogurt intake and colorectal cancer incidence subclassified by Bifidobacterium abundance in tumor」(Gut Microbes) https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19490976.2025.2452237?