タンパク質、多価不飽和脂肪酸、食物繊維が豊富な食習慣等により睡眠が改善する可能性(筑波大学)

 筑波大学 Jaehoon Seol 氏らの報告。2025年2月3日 筑波大学ホームページで公表。研究成果は2025年1月30日「Journal of Medical Internet Research」に掲載。

 スマートフォンアプリ「Pokémon Sleep※1」と「あすけん※2」を同時に利⽤する 6,052名のうち、7⽇未満の計測やデータ⽋損等がみられた 1,227名を除外した、4,825名(平均年齢36.7歳、⼥性が81.6%)が対象。「あすけん」で毎⽇の⾷事内容の記録から数値化された14項⽬の栄養素、「Pokémon Sleep」でスマートフォンに内蔵された3軸加速度計データから得られる総睡眠時間、睡眠潜時(寝ようと考え消灯した時点から睡眠開始までの時間)、中途覚醒時間のデータを収集。7〜136⽇間の睡眠状況と主要栄養素の関係を分析。

結果

① 総カロリー摂取量が高いほど総睡眠時間が短く、中途覚醒が長い。
② タンパク質摂取量が多い人は総睡眠時間が長い。
③ 一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は睡眠時間が短い。
④ 多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は睡眠潜時が短くなるが、一価不飽和脂肪酸の摂取が多いと睡眠潜時と中途覚醒が長くなる。
⑤ 食物繊維を多く摂取している人は、総睡眠時間が長く、睡眠潜時(寝付き時間)と中途覚醒が短くなる。
⑥ ナトリウム対カリウム比が高い(ナトリウム摂取が多い)人は総睡眠時間が短く睡眠潜時と中途覚醒が長くなる。
(上図参照)

 報告は、「本研究により、タンパク質、多価不飽和脂肪酸、食物繊維が豊富な食習慣により睡眠が改善する可能性が示唆された」とまとめている。


※1 Pokémon Sleep
 株式会社ポケモンが提供する睡眠ゲームアプリ。計測した睡眠データに基づいて、ゲーム内でキャラクターの寝顔を集める仕組みを備えている。ユーザーの睡眠習慣をゲーム要素と組み合わせ、睡眠時間や睡眠の規則性などのデータを記録。
※2 あすけん
 株式会社askenが提供する⾷事管理アプリ。⾃分⾃⾝の⾷事内容を記録することで、⾃⾝に合った⽬標摂取エネルギーや各種栄養素に対する過不⾜が分かる。管理栄養⼠が監修した⾷事内容に対するフィードバックや⾷⽣活のアドバイスも提供。

「アプリデータで睡眠と栄養の関連を大規模調査」(筑波大学)
 https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20250203140000.html
「Relationship Among Macronutrients, Dietary Components, and Objective Sleep Variables Measured by Smartphone Applications: A Real-World Cross-Sectional Study.」(Journal of Medical Internet Research)
 https://www.jmir.org/2025/1/e64749


〔参考〕