カマンベールチーズの日常的な摂取、通常歩行速度が速い、嚥下機能の維持は認知機能の低下を予防!(桜美林大学、東京都健康長寿医療センター 他)

 株式会社明治、桜美林大学、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの共同研究グループの報告。2024年10月15日それぞれのホームページで公表。研究成果は、2024年8月22日「Nutrients」に掲載。

 東京都板橋区在住の65歳以上の高齢女性1,035名が対象。身体組成(身長、体重、BMI、ふくらはぎの周囲長)、体力測定(握力、通常歩行速度)、反復唾液嚥下テスト(RSST)、血液検査 (総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、血清アルブミン、HbA1c) 、食事多様性スコア(DVS)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、チーズの摂取頻度と種類等について調査。

結果

・ チーズを習慣的に摂取すると回答は対象者全体(1,035名)の85.3%(883名)。そのうち、カマンベールチーズを習慣的に摂取すると回答は119名(複数回答可、全回答のうち12.2%)。チーズ摂取と認知機能に関して欠損のないデータが取得でき、かつMMSEスコアが20点以上であった1,017名のうち、軽度認知機能低下(MCD:Mild Cognitive Decline)に該当する方は調査対象者全体の14.8%(151名)。

・ 先行研究と同様に、チーズ摂取者はチーズ非摂取者より牛乳を摂取している人の割合が高く、認知機能を評価する指標であるミニメンタルステート検査のスコアが高い値を示した。さらにカマンベールチーズ摂取者は他のチーズの摂取者よりもミニメンタルステート検査のスコアが高い値を示した。そのほか、チーズ非摂取者と比較して、ふくらはぎの周囲径が大きく、握力が強く、通常歩行速度が速く、食品摂取多様性スコアが高く、GDS(Geriatric Depression Scale)のスコアが低いことが示された。

・ 軽度認知機能低下に該当する集団はミニメンタルステート検査が26点よりも高い高齢者の集団と比較して年齢が高く、ふくらはぎの周囲径が小さく、握力が弱く、通常歩行速度が遅く、嚥下機能が低く、血中アルブミン濃度が低く、GDS(Geriatric Depression Scale)スコアが高いことがわかった。

・ ロジスティック回帰分析の結果、軽度認知機能低下と関連する因子として、年齢、通常歩行速度、嚥下機能及びカマンベールチーズの摂取状況が重要であることが示された。(上図参照)


 報告は、「日本の地域在住高齢女性を対象としたこの横断的研究では、複数の交絡因子を調整した後でも、カマンベールチーズの摂取が軽度の認知機能低下と関連していることが示唆された」とまとめている。 


「日常的なカマンベールチーズの摂取習慣が認知機能の高さと関連することを地域在住高齢女性を対象とした疫学研究により確認~8月22日 国際科学雑誌Nutrientsに論文掲載~」(株式会社 明治)
 https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2024/1015_02/index.html
「Association between the Intake/Type of Cheese and Cognitive Function in Community-Dwelling Older Women in Japan: A Cross-Sectional Cohort Study」(Nutrients)
 https://www.mdpi.com/2072-6643/16/16/2800