日本の大学生の約2割がロコモティブシンドローム(運動器症候群)に該当!(国際医療福祉大学)

 国際医療福祉大学 沢谷 洋平 氏らの報告。研究成果は2024年5月10日「BMC Musculoskeletal Disorders」に掲載。

 健康科学を専攻する大学生413名(平均年齢19.1±1.2歳、男性192名、女性221名)が対象。2023年4月~7月に実施。日本整形外科学会の基準に準拠し、「ロコモ度テスト」(立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25)行い、「ロコモ度1」、「ロコモ度2」、「ロコモ度3」を判定。筋骨格系評価(片脚立ち、スクワット、肩挙上、立位体前屈)、身体組成(体重、BMI、体脂肪量、体脂肪率、骨格筋量指数(SMI:skeletal muscle mass index)、位相角(骨格筋の質の指標))、国際身体活動質問票短縮版(IPAQ short版)、食事多様性スコアの調査などを行い、ロコモティブシンドロームと関連する要因を男女別に検討。

 結果

 413名中、86名(20.8%、ロコモ度1-83名、ロコモ度2-3名)がロコモティブシンドロームに該当(上図参照)。性別で分類すると、女性55名(24.9%)、男性31名(16.1%)で、女性の方が高いことが観察された。

 ロコモティブシンドロームの該当、非該当のグループ間で、男性は、片脚立ち(5秒以上)と位相角に顕著な差が見られ、女性は体脂肪量、体脂肪率、骨格筋量指数、運動器の痛み、握力に差が認められた。

 二項ロジスティック回帰分析を行い、ロコモティブシンドロームと関連する要因を解析した結果、男性は片脚立ちができないこと(オッズ比7.326、95%信頼区間2.035~26.370)、女性は運動器の痛み(同2.985、1.546~5.765)および高い体脂肪率(同1.111、1.040~1.186)が、ロコモティブシンドロームと有意に関連していた。

 報告は、「この研究では、大学生の5人に1人がロコモティブシンドロームに罹患していることがわかった。若者のロコモティブシンドロームのリスクを低下させるには、男性のバランス感覚の向上と女性の体幹の筋力強化が効果的である可能性がある。また、対象者の36.1%が何らかの痛みを経験したと報告していることを考えると、整形外科の専門医に相談することは実行可能な対応である可能性がある」とまとめている。


「Prevalence and associated factors of locomotive syndrome in young Japanese adults: a cross-sectional study」(BMC Musculoskeletal Disorders)
 https://bmcmusculoskeletdisord.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12891-024-07493-z


〔参考〕