台北医科大学の Wayne Gao 氏らの報告。研究成果は2024年1月19日「JAMA Network Open」に掲載
1996年から2017年の間に台湾で年1回から半年に1回行われる健康診断プログラムに参加した481,688人が対象。仕事上の座り方、身体活動、その他のライフスタイル要因に関連した健康状態に関するデータを収集。
仕事中の状態は、「ほとんど座っている」、「座っていると座っていないを交互に繰り返す」、「ほとんど座っていない」の3群に分類。余暇時間における身体活動は、「ほとんど行っていない(週あたり <3.75MET・時または1日あたり15分未満)」、「少ない(週あたり3.75~7.49MET・時または1日あたり15~29分」)、「中(1週あたり7.50~16.49MET・時または1日あたり30~59分)」、「多い(週あたり16.5~25.49 MET・時または60~89分)」、「非常に多い(週あたり25.5MET・時以上または1日あたり90分以上)」の5グループに分類。PAIスコア※は「1-49」、「50-99」、「100-149」、「>150」の4グループに分類。
仕事中の状態とそれぞれの全死亡率、心血管疾患死亡率との関係を分析。平均追跡期間は12.85年。追跡期間中に2万6,257人が死亡。
結果
「ほとんど座っている」群は「ほとんど座っていない」群に比べ、全死因死亡率が16%高く、心血管疾患死亡率が34%高かった。「座っていると座っていないを交互に繰り返す」群は、「ほとんど座っていない」群と比べ、全死因死亡率の増加はみられなかった。
余暇の身体活動を「ほとんど行っていない」で「ほとんど座っている」グループを基準として比較すると、余暇時間における身体活動が多いほど全死亡リスクは低下。「ほとんど座っている」群で、余暇時間における身体活動が「少ない」、または余暇時間における身体活動を「ほとんど行っていない」場合、余暇時間における身体活動を1日あたりそれぞれ15分および30分増加すると「ほとんど座っていない」群と同じレベルまでリスクは低下。(上図参照)
PAIスコアにおいてもスコアが高いと座りすぎによる死亡リスクが顕著に低下。
報告は、「仕事中に座っていると座っていないを交互に繰り返すこと、および余暇時間における身体活動を1日あたり15~30分間追加で行うか、PAIスコアが100以上を達成することで、長時間の仕事上の座りすぎによる害が軽減された」とまとめている。
※PAI(Personal Activity Intelligence)
PAI(パイ)とは、身体活動に対する心拍数応答に基づく身体活動計量の指標。1週間あたりに行った運動を心拍数の高さに着目し、運動の量と強さを評価してスコアとして表している。このPAIスコアを日々100以上維持することで健康で長生きできるとして推奨されている。
「Occupational Sitting Time, Leisure Physical Activity, and All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality」(JAMA Network Open)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10799265/