2年間で10%以上の意図せぬ体重減少は、その後1年間のがんの発症リスクが約2倍!

 米ハーバード大学医学部、スウェーデンカロリンスカ研究所の Qiao-Li Wang 氏らの報告。研究成果は、2024年1月23日「JAMA Network」に掲載。

 1976年から30歳から55歳までの看護師を登録した看護師健康調査(NHS:Nurses’ Health Study)と、1986年から40歳から75歳の男性医療専門家を登録した医療専門家追跡調査(HPFS:Health Professionals Follow-Up Study)のデータを使用。ベースラインでがん既往歴があった者などを除外した15万7,474人(年齢中央値62歳、女性71.1%、白人95.2%)が対象。最近の体重変化は、隔年で報告された参加者の体重から2年間の体重減少率を計算。減量行動は、食事の改善と身体活動の増加の両方を行った場合は「高」群、どちらか1つの変更のみを行った場合は「中」群、どちらも行わなかった場合は「低」群に分類。体重減少とがん発症との関連を検討した結果。

 追跡調査中に15,809件のがん発症を確認。

 追跡期間中の最後の体重確認後12カ月間における10万人年当たりの新規がん発症率は、体重減少なし群の869に対し10.0%を超える体重減少群では1,362と有意に高かった〔多変量調整後の相対リスク(aRR)1.37、95%CI 1.27~1.48、P<0.001〕。(上図左参照)さらに減量行動で比較すると、「高」群の10万人年当たりのがん発症率1,220と比べ、「低」群は2,687とリスクが約2倍(aRR 1.95、95%CI 1.48~2.56、P<0.001)だった。(上図右参照)

 がんの種類別に見ると、体重減少なし群と比べて10.0%を超える体重減少あり群は上部消化管(食道、胃、肝臓、胆道、膵臓)のリスクが特に高かった。

 報告は、「体重減少がなかった者と比べ、2年間で10%以上減少した者はその後1年間の新規がん発症リスクが有意に高く、特に上部消化管がんでリスクが高かった」とまとめている。


「Cancer Diagnoses After Recent Weight Loss」(JAMA Network)
 https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2814132