順天堂大学大学院医学研究科 田島 朋知 氏らの研究グループの報告。2023年10月31日順天堂大学のホームページ等で公表。研究成果は2023年9月18日「The journals of gerontology. Series B」に掲載。
多目的コホート研究(JPHC Study)研究の5年間追跡調査時点で45~74歳の日本人38,660人が対象。調査開始5年時点の「生活を楽しんでいる意識」と介護保険認定情報から把握した認知症との関連を調査。
「生活を楽しんでいる意識」は「あなたはご自分の生活を楽しんでいると思われますか?」というアンケートに対する回答(「いいえ」、「ふつう」、「はい」)により、対象者を、「いいえ→低い」、「ふつう→中程度」、「はい→高い」の3グループに分けて分析。
2006年から2016年までの追跡期間中央値9.4年の間中に4,642人が認知症と診断されていることを確認。
結果、生活を楽しんでいる意識が「低い」と比較して、「中程度」は25%(ハザード比0.75、95%信頼区間0.67-0.84)、「高い」は32%(同 0.68、0.59-0.78)統計学的有意に認知症リスクが低いことが明らかになった。(上図参照)
脳卒中既往の有無で分けた2タイプの認知症のいずれにおいても同様の結果。
しかし、自覚的ストレスの「少ない」「普通」「多い」グループ間で検討すると「少ない」「普通」では同様の結果が見られたが、「多い」では、認知症リスクとの関連は見られなかった。
報告は、「今回の研究結果は、自覚的ストレスをコントロールしながら生活を楽しんでいる意識を持つことが、将来の認知症の発症予防に重要であることを強調するものである」とまとめている。
「生活を楽しんでいる意識」が要介護認知症リスクを抑制する(順天堂大学)
https://www.juntendo.ac.jp/news/16198.html
「Perceived Level of Life Enjoyment and Risk of Developing Disabling Dementia: The Japan Public Health Center–Based Study 」(The journals of gerontology. Series B)
https://academic.oup.com/psychsocgerontology/advance-article-abstract/doi/10.1093/geronb/gbad129/7276312