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北陸先端科学技術大学院大学 KOOHSARI MohammadJavad 氏、早稲田大学 岡 浩一朗 氏らの研究グループの報告。2023年6月9日北陸先端科学技術大学院大学、早稲田大学ホームページにて公表。研究成果は2023年5月30日「Preventive Medicine」に掲載。
対象は、がんや慢性疾患の原因や予防策を明らかにすることを目的とした、カナダ・アルバータ州最大の長期的健康調査(Alberta’s Tomorrow Project)登録者で、都市部に居住し、心血管代謝疾患の危険因子を分析するための生体サンプル(血清、血液、尿)、健康と生活習慣に関する追跡調査データの整った7,171名。
地理情報システムを使用して、従来採用されてきたウォーカビリティの指標とスペースシンタックス理論に基づくウォーカビリティの指標*という二つの建造環境特性を算出して比較検討。
* スペースシンタックス理論に基づくウォーカビリティの指標
空間の捉え方によって様々な対象を解析できるスペースシンタックス理論は、建築内部空間から都市などの外部空間まで、幅広い領域で適応することができる。特に本研究では、道路間の接続の度合い(道路ネットワーク)に着目し、道路の統合と特定の道路がエリア内の他の道路とどの程度接続されているかを数値化。高度に統合された道路ネットワークは、目的地に到達するために必要な方向転換がより少なくなる。
結果
スペースシンタックス理論により導き出されたウォーカビリティの指標は、
男性の収縮期血圧(b=−0.87、95%信頼区間-1.43~−0.31)および拡張期血圧(b=−0.45、95%信頼区間-0.86~−0.04)と負の相関。
男性の肥満度(オッズ比0.88、95%信頼区間0.79~0.97)、女性の肥満度(オッズ比0.93、95%信頼区間0.87~0.99)と関連。
報告は、「都市部におけるウォーカビリティ、特に道路間の接続度合いが心血管代謝疾患の危険因子と関連していることを示している。研究成果は、今後、新たな都市環境整備を行う際の意思決定に活用できるものと期待される」とまとめている。
「心血管代謝疾患の危険因子に関連する建造環境の特徴を歩きやすさの新指標を用いて解明」(北陸先端科学技術大学院大学)
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/06/09-1.html
「歩きやすさと血圧-肥満度の関連性解明」(早稲田大学)
https://www.waseda.jp/top/news/91061
「Urban design and cardio-metabolic risk factors」(Preventive Medicine)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0091743523001329