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九州大学 多治見 昂洋 氏らの報告。「Archives of Gerontology and Geriatrics」の2023年3月号に掲載。
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)を受けた65歳以上の認知症のない日本人1,112人が対象。5.0年間 (中央値) 追跡して、最高歩行速度と脳体積および認知症発症リスクとの関連を調査。
結果
追跡期間中に108人が認知症を発症。
最高歩行速度が低下すると認知症リスクが上昇。この関連には海馬、島(とう)皮質の灰白質体積(GMV:gray matter volume)減少および白質高信号域(WMHV:white matter hyperintensities volume)増加が関連している可能性が示唆された。
報告は、「日本人の一般高齢者集団において、歩行速度の低下が認知症の発症と有意に関連し、この関連には海馬または島体積の減少、および白質高信号域の増加が関与している可能性があることが示された。これらの知見は、歩行速度が脳構造変化や将来の認知症発症の臨床的徴候となる可能性を示唆している」とまとめている。
「Association of gait speed with regional brain volumes and risk of dementia in older Japanese: The Hisayama study」(Archives of Gerontology and Geriatrics)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0167494322002709