福島県立医科大学 舟久保 徳美 氏らの報告。2022年4月23日「BMC Geriatrics」に掲載。
注)図は本文とは直接は関係ありません
福島県立医科大学、大阪大学、岡山大学の新聞広告などを通じて周辺の地域住民から参加者を募集。対象は、メタボリックシンドロームの因子(腹部肥満、糖代謝異常、高血圧、脂質異常など)を一つ以上持つ40~79歳の成人で、重度の心血管疾患や脳卒中後遺症のない235人(平均年齢66.9歳、女性84.3%)。性別、年齢、BMIが偏らないように調整した上で無作為に2群に分け、1群を介入群とした。ベースライン時点で介入群と対照群の間に、年齢、性別(女性の割合)、BMI、飲酒・喫煙・運動習慣、笑う頻度、および、ストレスやうつ状態などのメンタルヘルス関連指標の有意差はなかった。
介入群に対しては、プロの噺家による落語の鑑賞、笑いヨガの実践、笑いと健康に関するミニレクチャーなどで構成された90分のプログラムを受ける機会を12週間で8~10回提供。このプログラム提供期間の前後での、BMIや健康関連の生活の質(HRQOL)、主観的ストレス・幸福感、うつ症状(GDS-15)などの変化を評価。
結果、介入群は、平均体重(p=0.008)、BMI(p=0.006)、主観的ストレス(p =0.004)、主観的幸福(p=0.002)、楽観主義(p=0.03)、身体的HRQOLのコンポーネントサマリー(PCS)スコア(p=0.04)。また、地域、性別、年齢別のBMIと主観的ストレススコアの平均変化についても大きな改善が認められた。さらに、BMIの変化とPCSの変化の間には有意な負の相関(p=0.04)が認められた。
報告は、「笑いプログラムが、ストレスを軽減し、HRQOLと、主観的な幸福や楽観主義などのメンタルヘルス要因を改善することにより、メタボリックシンドロームの危険因子を持つ参加者の体重を減らすのに役立つ可能性があることを示唆している」とまとめている。
「Effects of a laughter program on body weight and mental health among Japanese people with metabolic syndrome risk factors: a randomized controlled trial」
https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-022-03038-y