千葉大学大学院医学研究院環境労働衛生学の諏訪園靖氏らの報告。2021年11月10日、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載。
高血圧の発症は、血圧140/90mmHg以上、または降圧薬の開始で判断。飲酒量は、「飲まない」と、エタノール換算値で「1~76g/週」、「77~153g/週」、「154~307g/週」、「308g/週以上」の5群に分類。(エタノール77gは日本酒3.5合、154gは7合、308gは14合に相当)喫煙は、「吸わない」と、「1~10本/日」、「11~20本/日」、「21本/日以上」の4群に分類。
対象者の平均年齢は41.3歳で、飲酒量は平均110g/週(5.0合/週)、喫煙率は57.9%。追跡期間中に、2,351人(31.3%)が高血圧を発症。
飲酒に関しては「飲まない」群に対して、「1~76g/週」群でオッズ比(OR)0.87(95%信頼区間0.76~1.01)、「77~153g/週」群でOR1.18(1.02~1.35)、「154~307g/週」群でOR1.41(同1.24~1.61)、「308g/週以上」群でOR1.78(1.56~2.02)。(上図上)
喫煙に関しては「吸わない」群に対して、「1~10本/日」群でOR1.02 (0.83~1.24)、「11~20本/日」群でOR1.12(1.01~1.25)、「21本/日以上」群でOR1.17(1.03~1.32)。(上図中)
飲酒の「飲まない」または「153g/週以下」群の場合は、非喫煙者、喫煙者ともに、高血圧発症リスクの有意な上昇は見られなかった。しかし、飲酒量が「154g/週以上」群の場合は、非喫煙者は1.51(1.27~1.79)喫煙者は1.81(1.54~2.11)と、オッズ比がより上昇。相乗的にリスクが高まる可能性が示された。(上図下)
報告は、「飲酒および喫煙と高血圧発症との間に有意な正の量反応関係が認められた。さらに、飲酒と喫煙は高血圧発症に対して相乗的にリスクを増加させる可能性が示された。飲酒量を減らして禁煙することで、高血圧発症リスクをさらに抑制できるのではないか」とまとめている。
「Effects of Alcohol Consumption and Smoking on the Onset of Hypertension in a Long-Term Longitudinal Study in a Male Workers’ Cohort」
https://www.mdpi.com/1660-4601/18/22/11781/htm