アルツハイマー型認知症予防のためにはより十分な血糖コントロールが望ましい!(金沢大学、九州大学)

 金沢大学と九州大学の共同研究グループの報告。2022年1月4日「Journal of Alzheimer’s disease」のオンライン版に掲載。
 大規模認知症コホート研究(JPSC-AD: Japan Prospective Studies Collaboration for Aging and Dementia)のデータを使用。対象は全国8地域で2016年から2018年に実施した調査に参加した11,410名。糖尿病の有無、ヘモグロビンA1c(HbA1c)値※1、グリコアルブミン(GA)値※2とアルツハイマー病、血管性認知症との関連を解析。

 結果、糖尿病診断、HbA1c高値、グリコアルブミン高値はアルツハイマー病罹患と有意に関連。

 HbA1c 5.7~6.4%の境界型糖尿病であっても、正常型(HbA1c 5.7%未満)と比べて、アルツハイマー病罹患のリスクが1.30倍に増加。(上図参照)

 報告は、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標は低血糖のリスクを避けるためにHbA1c 7.0%程度とされているが、認知症予防のためにはより十分な血糖コントロールが望ましい可能性が示唆された」とまとめている。


※1 ヘモグロビンA1c (HbA1c)値
ヘモグロビンは血液中の赤血球を構成するタンパク質。ヘモグロビンがブドウ糖と結びついたものがHbA1cで、過去の約1~2か月の平均血糖を反映するといわれている。
※2 グリコアルブミン(GA)値
GAは血清アルブミンにブドウ糖が結合したもの。過去の約2~4週間の平均血糖を反映するといわれている。


「全国8地域からなる大規模認知症コホート研究で境界型糖尿病とアルツハイマー病との関連を報告」(金沢大学)
 https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/101017
「Diabetes Mellitus, Elevated Hemoglobin A1c, and Glycated Albumin Are Associated with the Presence of All-Cause Dementia and Alzheimer’s Disease: The JPSC-AD Study」
 https://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad215153