中国・重慶医科大学付属第一医院のKanran Wang氏らがフラミンガム研究※の2,464人の第2世代参加者を対象にレトロスペクティブコホート研究(retrospective study:疾病の要因と発症の関連を調べるための観察的研究の手法の一つ。後ろ向き研究)を行った結果。2021年8月16日「Regional Anesthesia and Pain Medicine誌」のオンライン版に掲載。
主な結果は以下のとおり。
「広範囲の疼痛」が認められた人は347人(14.1%)、認められなかった人は2,117人(85.9%)。
モニタリング中に、認知症が認められたのは188人。そのうち50人(27%)が「広範囲の疼痛」を感じ、138人(73%)がそうではなかった。また、139人が脳卒中を起こし、そのうち31人(22%)が「広範囲の疼痛」を感じ、108人(78%)がそうではなかった。
年齢や性別を含む多変量で調整後、「広範囲の疼痛」は以下のリスク増加との関連が認められた。(上図参照)
・ 認知症リスク43%増(HR:1.43、95%CI:1.06~1.92)
・ アルツハイマー型認知症リスク47%増(HR:1.47、95%CI:1.13~2.20)
・ 脳卒中リスク29%増(HR:1.29、95%CI:1.08~2.54)
・ 65歳以上のサブグループにおいても、同様の結果が確認された。
報告者らは「広範囲の疼痛は、すべての原因による認知症、アルツハイマー型認知症、脳卒中の発症リスク増加と関連していた」とまとめている。
「Association between widespread pain and dementia, Alzheimer’s disease and stroke: a cohort study from the Framingham Heart Study」
https://rapm.bmj.com/content/46/10/879.long
※フラミンガム研究
1948年に心血管合併症増加への対応を検討するため、米国公衆衛生局のNational Heart Instituteがフラミンガム市(マサチューセッツ州)の男女5,209名を登録して始めた大規模前向きコホート研究。1971年に対象者の子と配偶者5,124名を追加登録。