2016年5月10日厚生労働省は、健診の結果、腹囲男性85cm、女性90cm以上で血圧、脂質、糖に異常があれば保健指対象者としていた特定健康診査、特定保健指導制度を2018年から腹囲が基準値以下であっても血圧、脂質、糖などに異常があれば保健指導の対象者とする制度に変更するとの方針を決めました。
今後、対象者の選定基準などが示されますが、現行においてもメタボリックシンドロームの基準と特定保健指導の対象者選定基準は異なりますので整理しておきましょう。また、海外の基準についても整理しておくことが大切です。
〔現行のメタボリック症候群診断基準〕
〔現行の特定保健指導階層化基準〕
〔メタボリックシンドロームの国際比較(出典:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013)〕
〔管理者の意見〕
内臓脂肪蓄積型の肥満に対する保健指導の効果は否定しません。また、「非肥満保健指導」は大変重要だと思います。しかし、2018年からの大変複雑になることが想定される保健指導の対象者の選定基準。また、内臓脂肪蓄積型の対象者と非内臓脂肪蓄積型の対象者への保健指導の層別化(少なくとも現行のグループ支援で一緒に指導するのは困難?)など課題は山積です。
もともと「メタボリックシンドローム」を「内臓脂肪症候群」と違訳し、メタボリックシンドロームの概念を取り入れた特定健診をメタボ健診と呼び、高齢者の医療の確保に関する法律施行令で「生活習慣病は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習慣病であって、内臓脂肪(腹腔内の腸間膜、大網等に存在する脂肪細胞内に貯蔵された脂肪をいう。)の蓄積に起因するものとする。」と定めたことに問題があると考えます。