個人の食塩摂取量はどのような状況や食品で多くなる?(東京大学)

 東京大学大学院医学系研究科 篠崎 奈々 氏、村上 健太郎 氏、東京大学名誉教授 佐々木 敏 氏らの研究グループによる報告。2025年6月29日東京大学のホームページにて公表。研究成果は、2025年6月28日「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」に掲載。

 個人の食塩摂取量が、どのような状況や食品で多くなるのかを、食事の情報をその都度リアルタイムに記録する「生態学的瞬間評価」という手法を用いて検討。

 18~79歳の日本人男女2,757人が対象。各季節に2日ずつ、合計8日間にわたり、すべての食事について、食事の種類(朝食・昼食・夕食)、勤務日かどうか、食事場所、一緒に食べた人数と、食品の種類と量など食事の状況を記録。得られた延べ63,239食の食事データを用いて、一般に減塩政策で控えることが推奨されている食品(汁物、漬物、加工された肉や魚介類)と、積極的にとることが勧められている食品(果物、減塩調味料、ハーブやスパイス、酢やかんきつ類の果汁、野菜)の摂取状況を調査。さらに、日本人の食塩摂取量と関連があると考えられる、主食の種類(米飯、パン、めん、その他の主食、主食なし)とアルコール飲料の有無についても分析。

結果

 食塩摂取量が多い食事には、昼食や夕食、非勤務日、レストランなどの外食時、2人での食事、秋冬といった食事の状況や、めん類などの主食、汁物、漬物、中程度〜高度に加工された肉や魚介類、アルコール飲料を含み、塩を使った調味料や野菜の摂取量が多いといった食品の特徴があることがわかった。(上図参照)

 報告は、「本研究は、食事の状況や食品の種類と食塩摂取量の関連を、生態学的瞬間評価を用いて明らかにした初めての研究。本研究の成果は、日本人の食塩摂取量を減らすための、具体的かつ実践的な対策の検討に役立つことが期待される」とまとめている。


「食塩摂取量が多い食事とは?食べる状況と食品の特徴を解明」(東京大学)(PDFファイル)
 https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400266851.pdf
「Ecological momentary assessment of meal context and food types contributing to salt intake at meals」(International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity)
 https://ijbnpa.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12966-025-01780-1